「仕事が遅れがちな人」が、やっていないこと:結果を出す“下ごしらえ”(2/5 ページ)
「この仕事、お願いしますね」と言われて、とりあえずやってみる人がいる。しかし、締め切りを守れず、各方面に迷惑をかけることも。なぜ「とりあえずやってみよう」という人は、仕事が遅れがちになるのか。
何が必要になってくるかを洗い出す
仕事が大きなものになればなるほど、プロセスをつくる重要性は増していく。これがうまくできていないと、うまくアウトプットに着地できないのだ。
まずやるべきは、アウトプットをつくるために、何が必要になってくるかを洗い出すことである。やるべき作業に分解し、プロセスをつくるのだ。
資料づくりなら、
- 資料をつくるために何を調べる必要があるのか
- それはどこで調べられるのか
- そのためには、どのくらい時間がかかるのか
- 最終的な提出書類の体裁にするには、どのくらい時間がかかりそうか
など、やらなければいけないことを一つひとつリストアップしていく。そしてここで大事になるのが、頭の中でざっくりとプロセスをイメージするのではなく、文字にして紙に落とし込んでみることだ。
わざわざ紙に書く必要などない、頭の中で分かっていればいいと考えてしまいがちだが、それをやると、どうしてもヌケ、モレが出てしまうことが多い。書き出すことは重要だ。
ある著名なコンサルタントが取材でこんなことを語っていた。中途入社で一般企業から転職したとき、彼はコンサルタントの仕事に戸惑うことになった。それまで勤めていた企業とは、仕事のやり方もスピードもまったく違っていたからだ。
当時すでに30歳を過ぎていたが、彼は決意する。それは、関わる仕事のすべてについて、面倒でもそのプロセスをきちんと文字に落としていくことだった。
結果的に彼は、短期間でコンサルタントとしての成長に成功することになる。最大の理由は、「手間はかかったけれど、すべての仕事を文字で書き出していったことだった」と語っていた。
通常、プロセスは、取りかかる前にやるべきことを洗い出すが、彼は仕事を終えた後にも結果的にどんなプロセスで仕事を進めたのかを書き出していった。
- それぞれの作業にどのくらいの時間がかかったか
- 事前に想定していたプロセスで足りないものは何だったか
- 事前のイメージと実際の仕事では、どこにズレが発生しやすいのか
面倒でもこうしたプロセスの書き出しをしていったことで、やらなければいけないことが可視化されていったのだ。
そして次に似たような仕事が来たとき、過去にしっかり書き出しておいたものに立ち戻ることで、一気にスピードアップを図ることができたのである。
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