「仕事が遅れがちな人」が、やっていないこと:結果を出す“下ごしらえ”(3/5 ページ)
「この仕事、お願いしますね」と言われて、とりあえずやってみる人がいる。しかし、締め切りを守れず、各方面に迷惑をかけることも。なぜ「とりあえずやってみよう」という人は、仕事が遅れがちになるのか。
人間は集中できず、短期記憶が苦手
ある大学教授が、取材でこんなことを語っていた。そもそも人間は忘れてしまう生き物だ、ということだ。短期記憶には、すこぶる弱い。だから、ちょっと前に考えていたことすらも忘れてしまう。
これには実は、太古の昔からの動物としての本能的な理由がある。脳のスペースを、いつも空けておくということだ。なぜなら、脳がいつも別のことを考えていたりすると、他の動物に簡単に襲われてしまったりするからである。
彼は言っていた。そもそも人間は、集中もできない生き物。なぜなら、集中していると、昔は簡単に命を落としてしまったからだ、と。集中できないのも、短期記憶が苦手なのも、仕方がないのである。
では、どうするのかというと、記憶装置を外部に持つことだ。その最も簡単な方法が、メモをとることなのである。
プロセスについても、頭の中で考えただけでは、忘れてしまう。アウトプットのために必要なプロセスは書く。簡単なメモ書きでもいいので、可視化して眺めてみる。
その上で過不足がないか、しっかり確認する。ここで手抜きをしたり、ヌケ、モレが出ると、結果的に思うようなアウトプットは出せなくなる。そして、書き出した経験は、次にも生きてくるのである。
一つひとつの仕事をきっちりとこなしていくと、やがていろいろな仕事の共通項が見えてくるようになる。ポイントがつかめてくるようになる。
先のコンサルタントは、これを「抽象化ができるようになっていく」と語っていた。抽象化ができるようになると、まったく違う種類の仕事でも、抽象化された過去の仕事の経験が生かせるようになっていく。そうすることで、仕事の幅を一気に広げていくことができるのである。
やったことがない仕事でも、果敢に挑んで成果に結びつけてしまえる人は、この抽象化ができている人なのだ。それは、一つひとつの仕事をきっちりこなし、プロセスを可視化するという丁寧な仕事を積み重ねることで可能になるのである。
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