同じ仕事なのに、なぜあの人は「結果」を出すのか:結果を出す“下ごしらえ”(5/5 ページ)
「同僚のあいつと、同じような仕事をしているのに、なぜ結果が違うんだろう」と感じたことはないだろうか。ひょっとしたら、アウトプットに行き着くまでの流れと、アウトプットをどう考えるかによって違ってくるのかもしれない。どういうことかというと……。
優れた仕事の裏に「膨大な準備」
アウトプットについて考える、というところまで、仕事についてずいぶん長い道のりを書いてきた。「こんなに準備に手間暇がかかるのか」と思われた方も多いかもしれない。しかし実際には、仕事のほとんどは準備だと語っていた人は多かった。優れた仕事には、間違いなく膨大な準備がある。それがうまくできていないと、アウトプットのクオリティは高まらない。
やり直し、差し戻しをくらってしまうのは、準備段階に問題があるのだ。ところが、どうしても早くアウトプットに目が向いてしまう。早くアウトプットがしたくなる。しかし、これでは文字通り「準備不足」になってしまいかねない。
アウトプットは最後の最後、という意識でいい。それまでの準備に7〜8割のパワーをかける。
そして重要なことは、いきなり完成を目指さないことである。最初は60〜70点程度のものを作り、そこから何度も見返して、どんどん精度を上げていく。
この方法のメリットは、大きな枠組みがぶれなくなることである。いきなり完成形を目指そうとすると、マクロな視点よりも、どうしてもミクロな視点に向いてしまう。
焦らず急がずじっくりステップを踏んで取り組む。結果的にそれが、やり直しや差し戻しを防ぐ、最も近道なのである。そうやって優れたビジネスパーソンたちは、着実に力をつけていくのである。
プロフィール:上阪徹(うえさか・とおる)
1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立。最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビューを得意とする。雑誌や書籍などで執筆するほか、取材で書き上げるブックライター作品も70冊以上に。取材相手は3000人を超える。
著書に『やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力』(すばる舎)『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター。』など。
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