インドネシアで日本の電子コミックは普及するのか:甲斐寿憲のキニナルモバイル(1/4 ページ)
電子書籍の販売サイト「eBookJapan」を運営しているイーブックイニシアティブジャパンが、インドネシアでも展開している。人口増などで経済発展が見込まれるインドネシアで、日本の漫画は受け入れられるのか。同社の担当者に、勝算などを聞いた。
甲斐寿憲のキニナルモバイル:
今やITはビジネスにプライベートに不可欠なもの。特にスマートフォンやタブレット、ノートPCといったモバイル関連は、現代人にとって必須アイテムになりつつある。日常のニュースや何気ない雑談の中にも、モバイルの話題をすることも増えてきているはず。
本連載ではモバイルを中心とした気になる話題をライターの甲斐寿憲がメーカーや開発者、ユーザーに直撃取材をし「実際にどうなのか?」を検証を交えて紹介。今話題の人気の製品、気になるメーカーの動向を分かりやすく紐解いていく。ひょっとすると、そこに新たなビジネスチャンスのヒントが隠れているかもしれない。ぜひ、大人のITスキルの一貫として役立てていただきたい。
「クールジャパン」と言われ、アニメや漫画といった日本文化のソフト領域が国際的に評価され始めたのは5〜6年前の話だ。日本政府も対外文化宣伝・輸出政策として現在も積極的に展開している。このクールジャパンに一歩踏み込んだ展開をしている会社がある。電子書籍の販売サイト「eBookJapan」を運営しているイーブックイニシアティブジャパン(以下eBookJapan)だ。
「日本の漫画は海外から高い評価を受けているが、市場としてはイマイチ」。そんなイメージもあるが、日本の電子コミックは海外でも通用するのか、eBookJapanの担当者に話を聞いた。
インドネシアに目をつける
経済産業省が発表した「平成26年度知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業」によると、海外の日本由来コンテンツ売上は年間138億米ドル。内訳をみると、ゲームが全体の80%を占め、次いで漫画が11%となっている。エリア別では欧州が38%、アジアが37%、北米が23%と、欧州に続きアジア市場が重要な輸出国となっているのが分かる。そのアジア市場でeBookJapanは、電子コミックを普及させようとしている。
日本国内であれば、スマートフォンやタブレット端末を使って、通勤通学の電車の中で漫画を楽しむ姿をよく見かけるようになった。場所を問わず購入と閲覧ができる手軽さもあって、ここ数年で一般化したサービスだ。果たして海外、特に途上国の多いアジア圏でも通用するのだろうか。
「アジアの漫画市場は10〜20年前にある程度でき上がっていて、今ではクオリティーの高い“国産漫画”が誕生しています。クールジャパンとして日本が海外に進出したのは『遅いくらい』と言えるかもしれません」と語るのは、eBookJapanの海外事業部プロデューサー・篠原義英氏だ。
「アジア市場で大きいのは、中国、韓国、台湾を想像されるかもしれません。ただ、最も市場が大きい中国では、無数の海賊版が流通しています。そうした市場で進出するには、莫大な予算と労力が必要」(篠原氏)だという。そこでeBookJapanが目をつけたのは、インドネシアだった。
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