インドネシアで日本の電子コミックは普及するのか:甲斐寿憲のキニナルモバイル(2/4 ページ)
電子書籍の販売サイト「eBookJapan」を運営しているイーブックイニシアティブジャパンが、インドネシアでも展開している。人口増などで経済発展が見込まれるインドネシアで、日本の漫画は受け入れられるのか。同社の担当者に、勝算などを聞いた。
作品を購入するユーザーはまだ少ない
ジャカルタが首都のインドネシアは、主要な5島と中規模な群島を含めた1万7000以上の島々から成り立つ。2014年10月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめた調査レポート「インドネシア経済の現状と今後の展望」によると、経済はここ10年間、概ね5〜6%の成長率を維持しており、他の主要な新興国に比べると安定感があるという。景気堅調の原動力は個人消費の底堅さ、世界第4位の人口(2億3000万人を超える)を背景とする消費市場の潜在力で、日本企業の関心も近年高まっているという。
そのインドネシアでeBookJapanは「MangaMon」というオンラインサービスを展開している。現地スタッフを中心に運営するMangaMonは、日本の漫画コンテンツはもちろん、インドネシア発の漫画コンテンツを取り扱うほか、マンガ、アニメ、コスプレといった文化の記事も配信している。
月間のUU(ユニークユーザー:集計期間内にサイトに訪問したユーザー数)は30万で、漫画は1冊1万5000ルピア(約117円)で販売。決済に手間がかかる環境のためデポジット(あらかじめポイントを購入しておいて、それを使って購入)方式で提供している。
実はインドネシアでは電子決済が日本ほど普及していない。「電子決済が怖い」「オンライン詐欺にあうかもしれない」といった不安の声があるからだ。ネットスキルの低さがそのような認識につながっているのかと思いきや、「日本でも昔は、『電子決算は怖い』という人が多かったですよね。10年、20年前の日本と同じような道をインドネシアでも歩んでいるのではないでしょうか」と分析している。
そのような事情があるので、実際に同サイトから作品を購入するユーザーはまだ少ない。「現状は漫画の閲覧よりも記事のほうがよく利用されています。でも、それでいい」(篠原氏)という。どういう意味なのか。「今は、漫画を身近な文化にすることが大事。日本のように電子決済で漫画を購入する文化を根付かせるために……今は種を撒(ま)いている段階」と篠原氏は話す。
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