インドネシアで日本の電子コミックは普及するのか:甲斐寿憲のキニナルモバイル(3/4 ページ)
電子書籍の販売サイト「eBookJapan」を運営しているイーブックイニシアティブジャパンが、インドネシアでも展開している。人口増などで経済発展が見込まれるインドネシアで、日本の漫画は受け入れられるのか。同社の担当者に、勝算などを聞いた。
アメコミテイストのギャグマンガが人気
IMF(国際通貨基金)によると、2013年のインドネシアのGDPは8703億ドルであり、世界第16位である。一方、2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、1日2ドル未満で暮らす貧困層は1億1743万人と推定されており、国民のおよそ半数を占めているのが現状だ。
「MangaMonをよく利用しているのは、富裕層の子どもが中心。具体的には、中小企業の社長、官僚、大企業で管理職――そうしたところで働く親の子どもたちですね。彼らは日本の生活レベルとほぼ同じ」。ただ、今後も経済成長が続く可能性が高いインドネシアであれば、いずれは貧富の差も縮まり、インターネットや漫画を楽しむ一般層も増えてくるであろう。
また、現状のインドネシアは携帯電話の通信環境に問題があるという。電波状況が悪く、基本的に従量課金制で「サイト閲覧=パケット消費=課金」という環境なので、日本のようにストレスフリーに、どこでもみんなが使えるというわけではない。
MangaMonを通じてインドネシアの漫画ファン、アニメファン、コスプレーヤーの交流も生まれ、「日本の作品のような漫画を描きたい」という現地クリエーターも誕生している。そしてインドネシアのクリエーターによる作品も徐々に誕生し、MangaMonでの配信も始まっている。「インドネシアでは、アメコミテイストのギャグマンガが人気で、アメコミと日本のマンガを合わせたみたいな画風の人が多いですね」という。
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