マクドナルドが「使っている卵は100%国産」という謎アピールを始めた理由:スピン経済の歩き方(3/4 ページ)
業績が回復しつつあるマクドナルドが、謎なアピールをしている。店内のトレイマットに「使っている卵は100%国産です」などと書かれていて、これを見た筆者の窪田氏は「マクドナルドは迷走しているのではないか」と分析。なぜなら……。
自分で自分の首を絞めることに
ご本人たちにその気がなくとも、「国産卵100%」「キッチンで割ってます」というアピールは裏を返せば、「キッチンで卵を割っていない店も山ほどいるんですよ」と言っているに等しい。
そんなのよほどヤバいやつらでしょ、と思うかもしれないが、実はわりと多い。先ほど「卵は国産が常識」と申し上げたが、それはあくまで一般消費者の感覚であって、一部の業界の方たちからすれば逆に、「卵は輸入」と相場が決まっているのだ。
日本の鶏卵生産量はおよそ250万トンだが、実は年間12万トン程度の卵が輸入されている。7割はかまぼこなどの練り物に使われる卵白粉だが、残り3割はケーキや菓子パンの製造に使う乾燥した全卵や冷凍液卵だ。
そして、それらは外食産業でも重宝されている。一部チェーン居酒屋や大手ファミレスなどで出るオムレツなどの卵料理に使われているのだ。
こういう現実はあまり世で知られていない。
なんだ、じゃあマクドナルドの「国産卵100%」はいい問題提起になるじゃない、と思う人もいるだろう。確かに、異物混入で信頼を失ったマクドナルドでさえ、「国産卵100%」なのに、輸入卵を使う店なんていかがなものか、と叩く人もいるかもしれない。
ただ、もし仮にそのような世論ができたら、それはマクドナルドに再び跳ね返ってくる恐れがある。
「100%のこだわり」をうたうマクドナルドの主要原料原産国をみると、完全に原産国が「日本」とだけなっている食材は、卵しかない。肉も野菜もあらゆるものに輸入品が含まれている。
つまり、「国産卵100%」アピールは、短期的にはドヤ顔ができても、長期的には自分で自分の首を絞めることになるのだ。
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