マクドナルドが「使っている卵は100%国産」という謎アピールを始めた理由:スピン経済の歩き方(2/4 ページ)
業績が回復しつつあるマクドナルドが、謎なアピールをしている。店内のトレイマットに「使っている卵は100%国産です」などと書かれていて、これを見た筆者の窪田氏は「マクドナルドは迷走しているのではないか」と分析。なぜなら……。
「100%アピール」をしている背景
公式Webサイトをのぞくと、卵だけではなく、「無添加ビーフ100%」「まるごとじゃがいも100%」「100%プロセス管理」と100%くくりのポイントを紹介し、『100%の品質を追求していく。これがマクドナルドのこだわりです』としめられている。
この背景には、2015年7月に自社で行った消費者調査がある。
ここで、「ビーフ(パティ)はビーフ100%、つなぎも添加物も入っていないと知らなかった」という人が86.9%、「卵は100%国産であると知らなかった」という人が96.1%にのぼったそうで、「商品情報の到達の問題を向上」(2015年10月13日ニュースリリース)を宣言した。それが、どうやらこの「100%のこだわり」キャンペーンにもつながっているようなのだ。
そう聞くと、マックもいろいろがんばっているのねと思うかもしれないが、個人的にはかなり危うい気がしている。
消費者の声に耳を傾けようという姿勢は決して悪いことではない。さまざまな消費者調査でも、マクドナルドに求めるのは、「食の安全」という結果が多数になっているので、方向性としては間違っていない。
ただ、ひとつ大きな思い違いをしているのは、「知らなかった」という商品情報を伝えたところで、消費者が振り向いてくれるとは限らない点だ。
ビーフ100%、国産卵100%であることを9割の人が知らなかったというが、それは裏を返せば、世の大多数は、そんなことはまったく意に介さずマクドナルドを利用していたということだ。
そもそも、「ビーフ100%」なんて宣伝文句は日本進出当時から用いている。40年近くうたってきたことが10%程度しか認知されていないということは、そもそも今の消費者に響くポイントではない、という可能性もあるのだ。
床に落ちた鶏肉や、人の歯やネジがポテトやらに混入していた強烈なイメージが、「へえ、ビーフ100%、国産卵100%だったんだ、そりゃ安心だね」とチャラになるだろうか。たぶんならない。
品質を問われ、「100%安全。従業員の衛生管理をしっかりしている」(2003年1月9日 朝日新聞)と胸を張れたのも今は昔。「100%」とは言い難い現実が明るみに出たにもかかわらず、かたくなに「100%品質」をゆずらないその姿は、不倫がバレたにもかかわらず、「お友だちです」と貫くベッキーさんのような見苦しさを感じてしまう。
ただ、そのようなポイントのズレよりも、かなり危うい気がするのは、この「100%のこだわり」キャンペーンが、壮絶なブーメランになるかもしれないからだ。
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