「VRはゲーム業界“だけ”のものではない」開発者が語る課題と未来:東京ゲームショウ2016(1/2 ページ)
今年の東京ゲームショウで最も注目を集めた「VR(仮想現実)」。コンテンツメーカー、プラットフォーマ―から見た「VRの課題と可能性」とは? 基調講演のレポートをお届け。
9月15日から18日にかけて千葉・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2016。4日間で歴代最多となる27万1000人が訪れ、また、ビジネスマッチングシステムの登録社数は15年の1011社を上回る1149社で、国際的なB2B展示会としての影響力も高まった結果となった。
今年の東京ゲームショウで最も注目を集めたのはなんといっても「VR(仮想現実)」。VR関連は110タイトルにのぼり、初めて設置したVRコーナーには6つの国・地域から35社が出展し、“VR元年”と称された。
15日の朝一番に行われた基調講演のテーマは「VRマーケットの展望」。第1部はコンテンツメーカー、第2部はVRプラットフォーマーが登壇した、ソフトウェアとハードウェアの両側から見た講演だ。これからも成長していくVR市場の“イマ”を語ったトークのレポートをお届けしよう。
三者三様の“VRのイマ”
日本のゲームメーカーは、競うように各社VRコンテンツの制作を行っている。第1部に登壇したのは、カプコン伊集院勝さん、セガゲームス林誠司さん、バンダイナムコエンターテイメント玉置絢さん。VRコンテンツ制作に携わる面々が、三者三様のこだわりや苦労を語った。
カプコンは、“3分間のお化け屋敷”体験をうたった『KITCHEN』や、ゲームセンターで遊べる“怪獣体験”の『特撮体験VR 大怪獣カプドン』を開発中。そして、人気シリーズ『バイオハザード7 レジデント イービル』を全編VR対応することが話題になっている。
「『バイオハザード7』は、ある日『全編VR対応に』といわれて、そこからが苦難の日々。非VRのゲームをそのままVRにしただけでは全くゲームにならない。ありとあらゆる部分を再調整し、同じ素材を使って“作り直している”印象」(伊集院さん)
セガゲームスが注力するタイトルは『初音ミク VRフューチャーライブ』。PlayStation VRと同時の10月13日に発売が決定している。人気キャラクター「初音ミク」をはじめとするボーカロイドのライブを臨場感たっぷりに楽しめるコンテンツで、VRならではの演出を売りにしている。
「ミクさん(初音ミクの愛称)は、実際にコンサート会場でライブをしている。現実のライブに近づけるために、ざわざわ感や期待感を表現した。VRはいろんな角度からキャラクターを見られるので、ダンスモーションで“ウソ”をつけない。調整は非常に苦労した」(林さん)
そしてバンダイナムコのイチオシコンテンツは『サマーレッスン』。こちらも10月13日に配信する。本作は「宮本ひかり」という女子高生と夏休みの1週間を過ごす――というゲーム。キャラクターの魅力にこだわった作品で、まるで目の前に本当に立っているかのような“接近体験”をプレイヤーに提供する。
「最初から『とにかくかわいいキャラを作ろう!』と作っていった。これまでのノウハウでは決めせりふや決めポーズでキャラの個性の表現をすることが一般的だったが、VRコンテンツでそれをやると人間らしく見えない。なにげないくせや動き、そして目の作り込みでキャラクター性を宿していった」(玉置)
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