出前サービスの黒船「UberEATS」スタート テクノロジー、ユーザー・飲食店に“おいしい”メリット
Uberは9月28日、フードデリバリーサービス「UberEATS(ウーバーイーツ)」を、東京の一部エリアで9月29日11時から開始することを発表した。「UberEATS」はレストランや利用者にとってどのようなメリットがあるサービスなのだろうか。
配車サービスで磨いたノウハウを武器に、出前サービスの“黒船”が東京に上陸する。Uberが9月29日にスタートする「UberEATS(ウーバーイーツ)」は、都内の渋谷区・港区を中心としたエリアを対象に、「ダルマット」「宗胡」「焼肉トラジ」など150店舗以上のレストランが参加。順次エリアや参加店舗数を拡大していく予定だ。
Uberは2014年に食事の配達サービスに進出しているが、現行の形の「UberEATS」は今年1月のカナダを皮切りに規模を拡大し、現在はサンフランシスコ、パリ、ロンドンなど、7カ国33都市で展開。東京は8カ国34都市目だ。
UberEATSの特徴は、手軽にさまざまな料理を食べたいユーザーのニーズを満たすことと、配車と食事注文がシームレスに行われること。利用者がアプリから食事を注文すると、提携レストランとパートナー配達員に連絡が行く。レストラン側の調理が終わったタイミングで配達員が到達することで、注文から平均34分間という比較的短い時間での配達が可能になっている。
利用者、レストラン、パートナー配達員にどんなメリット?
利用者は、家にいながらにして有名店の食事を楽しめる。また、UberEATSが展開している都市であればどこでも利用できるので、海外旅行中やインバウンド旅行者でも、滞在地周辺の料理を注文できるのは大きなメリットだ。
通常、出前を頼むと割高になる傾向があるが、UberEATSは基本的に店頭と同じ価格で注文でき、しばらくはキャンペーンで配送料も無料のため、かえって割安といえる状態になっている。直接現金のやりとりがないのも安心だ。
レストランにとっては、新規顧客にアプローチする機会が増えるのに加え、新規投資なしにデリバリービジネスに参入できるメリットがある。配達はUberのパートナー配達員が担当するため、ドライバーや車両などの初期投資が不要で、固定費を増やさず出前に参入できるというわけだ。既にデリバリーをしている店も、配達圏を広げたり、配達コストを削減するなど、収益の改善が期待できる。
海外では、1日の注文数が2倍になった店舗や、売り上げが20%以上増加した店舗も出てきているという。
パートナー配達員はスクーターや自転車、徒歩などで配達し、Uberからの支払いは週単位で行われる。現時点での配達員は男性85%、年齢は20〜40代が多いが、シフトや場所にとらわれずに柔軟に働けるメリットから、学生や女性、早期リタイア世代の配達員も増えると見ている。
ビジネスモデルは?
収入はUberとレストランとで配分し、パートナー配達員にも配達料が支払われる。現段階ではプロモーション的に配達料を無料にしているが、今後有料化し、そこからマージンを取る予定だという(Uber側の割合は非公開)。
ネットで注文できる出前サービスは既に国内でも複数のサービスが展開しているが、Uberの強みは基幹事業の「ライドシェア」で磨いたテクノロジーとノウハウを活用できる点だ。配車アプリ「Uber」は世界70か国400以上の都市でサービス提供し、累計乗車回数は20億回を突破。日本では規制などもあり普及が進んでいないが、ハイヤー配車サービス「UberBLACK」などをプレミアムセグメント向けに運営するなど、日本市場はUberにとって投資の価値がある市場だと見ている。
UberEATSは、「最初の注文が安くなる」「紹介すると安くなる」「1コイン(500円)で食べられる」などのキャンペーンを続々と展開する計画だ。29日のサービス開始に対応できるパートナー配達員は最大1000人ほど。今後は、運用していきながら課題点や改善点を見つけつつ、他地域への展開を視野に入れる。
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