サッカー・本田選手も出資、ライフイズテックが取り組む教育改革とは?:中高生向けプログラミング教育で急成長(1/2 ページ)
のべ2万人以上の中高生が参加するプログラミング教育がある。運営するのは気鋭のベンチャー、ライフイズテックだ。同社が取り組む教育改革とは何だろうか?
ある日の午後――。東京大学(東京都文京区)の大教室にカラフルなTシャツを着た中学・高校生たちが50人ほど集まり、和気あいあいとした様子でPC画面に向かっている。室内にはアメリカンポップミュージックが流れ、お菓子をつまみながら談笑している子どもたちもいる。
一見すると仲間内のサークル活動のように思えるが、実はアプリ開発やゲームプログラミング、Webデザインなどを目的としたサマーキャンプがここで行われているのである。
同イベントを主催するのは、中高生向けにプログラミング教育を行うベンチャー企業、ライフイズテックだ。2010年に設立した同社は、1年間通学するスクール形式や、春・夏休みの短期間で行うキャンプ形式での学習プログラムを提供、これまでにのべ2万人以上が参加している。今年のサマーキャンプは全国の大学を会場に16コースを開催。参加費は5日間で約7万5000円(宿泊の場合は約14万5000円)と決して安くはないが、計3500人もの中高生が集まった。
同社は2013年にサイバーエージェントと合弁で小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsを設立、2016年9月にはサッカー日本代表の本田圭佑選手が立ち上げた投資ファンドなどから総額7億円の資金調達をするなど、業界外からも注目を集めている。
世界中がプログラミング教育に注視
ライフイズテックがプログラミング教育に着目した理由は何か。同社の水野雄介社長は「プログラミングは創造力や論理的思考力などを身に付けることができる。若者たちのモノを作る力を育てたい」と説明する。水野社長も理工系出身であるため、プログラミングを学ぶ価値は十分に理解する。
実際、プログラミング教育によって習得したスキルはビジネスシーンでも応用可能だとする。例えば、商品のプロトタイプを自分自身で作ることができるようになるという。「新商品開発をする際、企画書で説明するのと、プロトタイプを作って説明するのでは説得力がまるで違う」と水野社長はメリットを強調する。
また、たとえ自らがプログラミング言語を書けなくても、学習を通じてIT(サーバ、ネットワークなど)の仕組みを理解すればビジネス上でのリスク低減になるという。いまや企業においてITシステムを利用しない業務はほとんどないからだ。
プログラミング教育については、国としてもこれから力を入れていく分野である。文部科学省は2020年から小学校でのプログラミング教育を必修化することを決めた。これは日本に限ったことではなく、米国やオーストラリア、シンガポールなどの海外諸国もここ数年で同じような動きを見せている。まさに今、世界中でプログラミングのスキルが求められていることの表れであろう。
なぜプログラミングの重要性が叫ばれるようになったのか。「ビジネスの中心がインターネットやスマートフォンに移ったから」と水野社長は話す。かつては実店舗でしか洋服を買えなかったが、今ではスマホを使ってECサイトで誰でも簡単に買えるようになった。そして、そうしたネットやスマホ向けのサービスを提供して爆発的なビジネス成長を遂げている企業も少なくない。今や新たなビジネスの中心がこの分野にあるので、アプリやサービスを開発できるエンジニアなどの人材が求められているからだ。
「どの国も優秀なITエンジニアを育成し、自分たちのところに“シリコンバレー”を作って経済発展したい。今のプログラミング教育の必修化はそうした産業からの要請が大きい」(水野社長)
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