「豊洲新市場はカジノにすればコスト削減になる」は本当か:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
10月9日号の『サンデー毎日』で、複数の大手流通企業やアミューズメント会社が「豊洲を買いたい」と名乗りを上げているという。「カジノは豊洲に誘致したらいい」という声も出ているが、本当にそれでいいのか。筆者の窪田氏は……。
安定的に日本に金を落とす「上客」
そう言うと必ずといっていいほど、「日本は日本人だけが楽しく暮らせばいい、外国人なんか来られても治安が悪くなるだけで迷惑」という愛国心溢れる方たちのバッシングがあるが、現実問題として、「観光」ほどこれからの世界のなかで確実に成長が約束されている産業はない。
山本七平賞を受賞した『新・観光立国論』(東洋経済新報社)でデービッド・アトキンソン氏がさまざまなデータを用いて指摘しているように、移民もノー、人口も激減していくといういまの日本を確実に成長させていく施策のひとつであることは間違いないのだ。
そのような日本が「観光戦略」を進めていくうえで、無視のできないキーワードがある。「MICE」だ。
MICEとはMeeting(会議・研修・セミナー)、Incentive Travel(報奨旅行・招待旅行)、Convention、またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition/Event(展示会)の頭文字をとった造語で、海外出張などのいわゆる商用観光客をターゲットとした観光形態だ。
国際会議や展示会を開催するということは、一度に大量の観光客が日本を訪れるということだ。さらに、このような商用観光客というのは、一般の観光客よりも消費が大きいというデータがある。中国人観光客の「爆買」がいつまで続くのか分からないという不安定さがある中で、MICEの観光客というのは、安定的に日本に金を落とす「上客」となりえるのだ。
いや、それかもしれないけど、日本みたい経済大国にはもうすでに商用観光客なんてバンバン来ているでしょと思うかもしれないが、実はそうでもない。
日本政府観光局の「2014年の国際会議開催統計(ICCA)の発表」によれば、日本の国際会議件数は、イタリアより下の7位。中国とどっこいどっこいだ。都市別に見ると、東京は北京、ソウル、香港、台北に続いて22位なのだ。
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