なぜ地図で「浅草寺」を真ん中にしてはいけないのか:水曜インタビュー劇場(地図公演)(1/6 ページ)
地図を作成している編集者に、2枚の地図を見せてもらった。1枚は浅草寺が真ん中に位置していて、もう1枚は浅草寺が北のほうにある。さて、実際に地図に掲載されているのは、どちらなのか。答えを聞いたところ、予想外の結果に!?
いきなりだが、下の地図(2枚)を見ていただきたい。上の地図は、東京都内最古の寺「浅草寺」(台東区)が北に位置している。下の地図は、「浅草寺」が真ん中に位置している。
さて、ここで問題。上と下の地図、どちらが“正しい”地図だろうか。
「ん? 浅草寺ってそんなに有名なの? 行ったことがないからなあ」という人もいらっしゃると思うので、ここで簡単に浅草寺についてご説明しよう。浅草寺は東京・浅草の代表的な観光スポットで、年間3000万人ほどが訪れるという。境内まで伸びる仲見世で、おみやげを買っていたり、食事を楽しんでいたり、多くの人が賑(にぎ)わっている。記者も平日の朝7時ごろに訪れたことがあるが、すでにたくさんの人が大きな提灯がぶら下がった雷門前で記念撮影をしていた。
ものすごく有名な観光スポットなので、記者はてっきり真ん中にどーんと掲載されている下の地図のほうが正しいと思っていた。しかし、である。地図『ハンディマップル』シリーズを編集している昭文社の市川智教さんに聞いたところ、正解は「上の地図」だという。
その話を聞いたとき、「そ、それは違うでしょ。浅草寺が真ん中にあったほうが見やすいですよ」と問い詰めてしまった(すみません)。その道、10年以上活躍しているプロに対してである(すみません)。なぜ、地図で浅草寺が真ん中にあってはいけないのか。市川さんに聞いたところ、理由は2つあるという。
その理由を聞いて、記者は合点したと同時に、びっくりしたのである。「紙の地図なんて使わないなあ。スマホで十分」という人が多いかもしれないが、何世代にもわたって脈々と受け継がれている編集力のスゴさに驚いたのである。そのスゴさとは……。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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