素顔は意外に優しい? 暴走するフィリピンの「暴言大統領」:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
10月25日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が来日する。彼の「暴言」がニュースになることが増えているが、一体どんな人物なのか。破天荒な言動の一方で、国民からは……。
ドゥテルテとはどんな人物なのか
そもそも、ドゥテルテとはどんな人物なのか。71歳の彼は政治家一族の出身で、司法試験を合格した1973年以降、80年代までダバオ市の特別弁護人や検事を務めていた。その後、ダバオ市の副市長などを経て、30年近くにわたり市長を務めてきた。その間、下院議員だったこともある。
市長時代から、ドゥテルテは犯罪撲滅に尽力してきた。市長になった当時、ダバオは「アジアのニカラグア」と呼ばれるほど殺人が多い危険地域だった。そんなダバオを、治安の悪いフィリピン国内における「平和のオアシス」に変えたと評価された。つまりダバオをフィリピンでも最も安全な街のひとつにしたのだが、一方で当時から裁判にかけないまま犯罪者と思われる人たちを大勢殺害していたとの批判も出ている。
ドゥテルテは大学から激しい人物だったことは確かなようで、自分をからかった学生を校内で銃で撃ったとのエピソードを話したことがある(学生は負傷で済んだ)。また大学時代には神父から性的虐待を受けた経験も明らかにしている。
2015年末に大統領選への出馬を表明した後、ドゥテルテは物議を呼ぶ発言が目立つようになり、世界的にも報じられるようになった。2016年4月には、1989年に起きたフィリピンの刑務所暴動事件でボランティアをしていたオーストラリア人女性が強姦・殺害された事件について、「彼女が(囚人たちに)強姦されたことに怒りを覚えたが、彼女は美しかった。市長(自分)が最初に強姦すべきだと思ったよ」と冗談を述べたことで、オーストラリアでは批判が巻き起こり、後に公式に謝罪している。
また同じ4月にビジネスマンらを前にしたスピーチで、「私は妻と離婚している。私はインポではない。どうしたものか、これ(ペニス)を永遠とぶら下げておくだけなのか? バイアグラを飲めば立つのに」と語っている。また過去に愛人が2人いたことなども公表し、「私に大統領になってもらいたいなら、私のすべてを知る必要がある」と発言して話題になった。
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