なぜ大阪府警の機動隊は「土人」などと暴言を吐いたのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
沖縄のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事を巡って、現場を警備する大阪府警の機動隊員が「暴言」を吐いた。反対運動をしている人に「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」などと発言したわけだが、なぜ彼らはこのような暴言を吐いたのか。その理由を探ってみると……。
大阪府警の警官、過去に何度も「暴言」
良い悪いは別にして、こういう戦い方をする人たちと40年以上前から、向き合ってきたのが日本の警察官だ。そういう意味では、どんなに反対派の方たちが口汚く罵られたからといって、売り言葉に買い言葉で、「土人」などの暴言を吐いてしまうというのは「治安維持のプロ」として脇が甘いと言わざるを得ない。
ただ、だからといって、沖縄メディアや「知識人」の方たちの、「発言は沖縄に対する差別意識のあらわれ」という意見には賛同しかねる。
この巡査部長らが、目の前の「市民活動家」を「沖縄県民140万人の代表」としてとらえていた、という解釈はいくらなんでも飛躍が過ぎるからだ。
実は警察や海上保安庁という「警備」を担当する方たちが、呼びかけに応じない市民活動家のみなさんに対して、苛立ちから勢いあまって「暴言」を吐くことは決して珍しくない。そこにあるのは、特定の人種・民族への差別感情などではなく、単純に目の前にいる「たび重なる警告に耳を貸さない活動家」に対する苛立ちだ。
例えば、2015年に米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に向けた作業が進む大浦湾でカヌーに乗って抗議をした「市民」に対して、海上保安庁の職員が「腐れナイチャーや」と発言をした。
ご存じのように、「ナイチャー」とは沖縄の方が、本土(本州)の人間を指して使う方言であり、特に差別的な意味はない。単に、地元出身の海保職員が、県外からやって来た活動家の自由すぎる振る舞いに対してイラっときた感情が、そのまま口をついて出ただけであり、これを「沖縄県民が本州の人間に抱く差別意識のあらわれだ!」と解釈するほうが難しいのだ。
今回の大阪府警の「暴言」もまったく同じで、「土人・シナ人=目の前にいる活動家」というのは明白であり、いくら「平和」のためとはいえ沖縄全体を巻き込むのは、やや度を超えたプロパガンダだ。
それにしたって、「土人」「シナ人」なんて表現は口が悪すぎるだろと思うかもしれないが、大阪府警の場合、こういう「暴言」はそれほど驚くような話ではない。
例えば、2011年、任意の取り調べをしていた30代男性に対して、捜査員がこんな暴言を吐いたことが脅迫罪となり、大きな問題になった。
「殴るぞお前。なめとったらあかんぞ」
「お前の人生むちゃくちゃにしたるわ」
また、2015年には80代の男性が、大阪府警の20代の巡査長から犯人だと決めつけられる取り調べを受けたうえ、「命令に答えろ、あほ」などの暴言を吐かれたとして、国会賠償請求訴訟を起こしたこともある。
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