日本に「ハロウィン」を定着させた「仕掛け人」は誰か:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
今年も大盛況の中で「ハロウィン」が幕を閉じた。オジさんたちから「我々が若かったころは、こんなイベントなかったよなあ」といった声が聞こえてきそうだが、実は40年ほど前から行われていたのだ。仕掛け人は広告代理店でなく……。
「ボスデー」が衰えた理由
この時代、「ハロウィン」は菓子や雑貨・文具という、主に子供や若者を対象とした市場だった。一方、「ボスデー」「セクレタリーズデー」は企業の管理職クラスと、「消費の牽引役」であるOLがターゲット。後者のほうが客単価が高いのは言うまでもない。つまり、この2つの記念日が日本社会に定着すれば、バレンタインデーとホワイトデーのオフィス版ができるというわけだ。百貨店のみならず、ファッション、菓子、文具、雑貨などあらゆる業界が普及を望むのも納得だろう。
しかし、そんな10月イベントの「最右翼」とされていた「ボスデー」の勢いが90年代も中盤にさしかかると、ガクンと衰える。
バブル崩壊だ。
このあたりを境に、管理職やOLたちの財布の紐(ひも)が急にかたくなる。92年にトシちゃん主演で映画化された『課長 島耕作』みたいな、「女性関係も仕事もバリバリこなす」みたいなマッチョな「ボス」も少なくなるにつれ、「ボスデー」「セクレタリーズデー」は下火になっていく。そこでまるで入れ替わるように、90年代後半から「ハロウィン」の存在感が増していったのである。
誤解なきように言っておくが、今も「10月16日はボスデー」と普及に努めている人々がいる。生花業界などだ。「日頃の感謝をこめて上司に花を贈ろう」というキャンペーンである。ただ、残念ながら今の日本社会で、かつてのような「ボスデー」「セクレタリーズデー」普及キャンペーンを続けていても、なかなか厳しいのではないだろうか。
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