なぜ、公務員の給与だけ引き上げられるのか?:マネーの達人(2/4 ページ)
民間企業の給与は、前年度より下がることは珍しくない時代になりました。今回は、公務員の給与が上がる仕組みをご紹介します。
国家公務員の人事管理を主な業務にする人事院
このように国家公務員の給与は直接的に、また地方公務員の給与は間接的に人事院の勧告によって決まります。
人事院とは、内閣の所轄の下に置かれる国家公務員法によって設置された「中央人事行政機関」で、国家公務員の人事管理を主な業務にしています。具体的には上記のような勧告のほかに、国家公務員の採用試験、任免の基準の設定、研修などを実施しています。
ただ、一般の人が人事院の名前を聞くのは、人事院の勧告によって一般職の国家公務員の給与が引き上げられたとき、あるいは引き下げられたという報道があったときだと思います。
国家公務員の給与は民間企業の給与に連動する
人事院発表の『給与勧告の仕組み』によると、例えば月給については、人事院が「企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の民間企業」と国家公務員の4月分の給与を調査し、精密に比較したうえで、その格差を埋めるために勧告を行っていることが分かります。
なぜ企業規模が50人以上の民間企業と比較するのかというと、国家公務員と同じように課長や係長などの役職段階があるため、同種や同等の者同士による比較が可能だからです。
このように、民間企業と国家公務員の給与の格差を埋めるために勧告を行っているということは、国家公務員の給与は民間企業の給与に連動して増減しているのです。つまり、景気が良くなって民間企業の給与が増えれば国家公務員の給与も増え、逆に景気が悪くなって民間企業の給与が減れば国家公務員の給与も減ることになります。
また、月給であれば上記のように4月分の給与を調査し精密に比較したうえで給与の増減を決めているので、最近の景況感を元に決められているわけではないのです。
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