社長、それでも自分の「給料」上げますか?:マネーの達人(2/3 ページ)
業績が好調だと役員報酬も上げたくなります。でも、ちょっと待ってください。給料を上げる前に、2人の経営者の会話を聞いてみましょう。
給料を上げるよりもいい方法とは
将来社長: それなら、資金を貯めるもっといい方法があるよ。
目先社長: えっ、給料を上げるよりもいい方法があると言うのかい? 想像もつかないけど……。
将来社長: じゃ、説明しよう。給料を100万円もらったとしても、全額が手取りになるわけではないだろう?
目先社長: 税金やら社会保険料が引かれるからそこは仕方ないよ。
将来社長: そうだね、給料の額と手取りの額には差がある。それが手取りを少なくしている2つの原因だ。
ポイント2
税金と社会保険料が天引きされるので、手取りは給料額面より少ない。
給料が上がると税金と社会保険料も上がる
将来社長: では、その2つを軽減、もしくはゼロにできるとしたら?
目先社長: そんなことはできないだろう。税金も社会保険料も、給料に応じて負担するのが原則だから。
将来社長: そこだよ。実は今、君が言った言葉の中にこそヒントが隠されているのだよ。
目先社長: えっ、当たり前のことを言ったつもりだけど、どういうこと?
将来社長: 実は、僕も君と同じように前期に給料を60万円から80万円に上げようとしていた。でも、顧問の社会保険労務士からアドバイスを受けて、結局そのままの60万円にしたんだ。
目先社長: そうだったのか、詳しく教えてくれよ。
将来社長: まず60万円の給料だと、年間で720万円になる。そこから所得税と住民税が約74万円、社会保険料も105万円引かれて、手取りは541万円程度になる。
目先社長: 君の家族もお子さんは就職しているし、奥さんも君の会社でそれなりの給料をもらっているから、条件は共働きの僕と同じだね。
将来社長: そうだね。それで給料を80万円、年間で960万円にした場合を見てみると、所得税・住民税が135万円、社会保険料は123万円になり、手取りは702万円程度になるのだよ。
目先社長: なるほど。240万円あげても、手取りでは161万円しか上がらないということだ。
ポイント3
給料を上げても、手取りはそれほどまでの実感はない。
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