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トヨタ・ダイハツのスモールカー戦略が始まった:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)
今年8月1日にトヨタ自動車がダイハツを完全子会社化してから、初の小型車の発表があった。世界ナンバーワン小型車メーカーへの道を進む上で、重要かつ失敗の許されない第一歩と言えるかもしれない。
小型車ニーズのローラー作戦
さて、そのトール/ルーミー/タンクだが、設計要件を聞いているだけで息苦しくなる。そのくらい妥協が許されない。ちょっと箇条書きにしてみよう。
コンパクトで取り回しやすいこと
- 全長3700mm、全幅1670mm、全高1735mm。要するに軽自動車のタントとできるだけ近い寸法であることを目指した。
- 最小回転半径4.6m。これも軽からの乗り換えを意識している。
- 乗降性に優れたシート高(700mm)とステップ高(366mm)。
- カメラを駆使した車両周囲のビューモニター。
- もはや抜きにはできない、ぶつからないブレーキ。
広い室内と荷室
- 室内高1355mm。
- シートスライド240mm。
- 前後乗員距離1105mm。
- 機内持ち込みキャリーバック4つを搭載できるラゲッジスペース。
- 高速走行中にラクに会話ができる静音設計。
高いユーティリティ
- 倒すとフルフラットになるシート。
- 畳むと広大になる荷室(荷室長1500mm)。
- 自転車もラクに積めるリヤハッチ開口形状。
- 自転車やベビーカーを積むための防汚シート。
- 大人用のみならず子ども用のアシストグリップも装備。
- 小物入れやテーブル、フックは何と合計15個。
そして当然の低燃費性能。1リッター3気筒ターボで、1.5リッタークラスのトルクを出し、CVTの最適制御で21.8km/Lの燃費を達成する。ちなみに、ターボなしなら24.6km/Lである。この低燃費のために樹脂外板を採用してボディを軽量化している。
クラス的に車両価格は絶対に上げられないので、シャシーやボディ、サスペンションは従来のコンポーネンツを流用しながら細かい改良を施している。
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