トヨタ自動車は11月17日、電気自動車(EV)開発を担当する社内ベンチャーを12月に設立すると発表した。
新たな組織にはトヨタのほか、豊田自動織機、アイシン精機、デンソーから1人ずつ、計4人が参加。トヨタグループ内で蓄積した技術ノウハウやリソースを活用する。小さな組織でスピード感を持って開発プロジェクトを進め、早期の商品投入を目指す。
トヨタの環境対応車開発については、世界で初めて市販し、開発をけん引してきたハイブリッド車(HV)などのほか、燃料電池車(FCV)に注力。FCVを「究極のエコカー」と捉えて開発を進めるとともに、水素社会の実現に向けて尽力してきた。
EVについては、航続距離や充電時間などの面でFCVほどの使い勝手ではないと判断し、市販に向けた開発に注力してこなかった。しかし、FCVとともにゼロエミッション達成のための選択肢として存在感が強まっていることから、市販車開発に向けた体制整備が必要だと判断した。
豊田章男社長は「この数年は将来に向けての種まきを強化する年と位置付け、手を打ってきた。今回の新組織もその一環。ベンチャー組織として、その分野のことだけを専門に考え、スピード感のある仕事の進め方を確立することで、トヨタやトヨタグループの仕事の進め方改革をけん引してほしい」とコメントした。
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