「いろはす」ブランドが支持されるワケ:「なし」新発売(2/3 ページ)
11月28日に新商品「い・ろ・は・す なし」を発売し、ますますラインアップを拡大する「いろはす」ブランド。ミネラルウオーター市場をけん引し、日本コカ・コーラの他ブランドのマーケティングにも生かされる“強さ”の秘密はなんだろうか。
ミネラルウオーター市場を復活させた「フレーバーウオーター」
10年には「いろはす みかん」を発売し、フレーバーウオーターというこれまでにない飲料ジャンルを生み出した。「フレーバーウオーターは、天然水のすっきり感、ローカロリー、子どもに与えても大丈夫という安心感、親しみやすさが支持されています」(銭高氏)。
ミネラルウオーター市場は、フレーバーウオーター以前は下降傾向にあり、10年は約2100億円だった。しかしフレーバーウオーターの登場後再度上昇傾向になり、15年には2800億円を超えた(矢野経済研究所推計)。いろはすシリーズは、市場を大きく引き上げた商品なのだ。
次々と新フレーバーや炭酸入り商品を開発し、現在はみかん、りんご、もも、炭酸レモン、サイダー、アロエ(セブン-イレブン限定)、マンゴー(ファミリーマート・サークルKサンクス限定)、ハスカップ(北海道限定)を展開。ブランド全体を成長させている。
日本コカ・コーラは、清涼飲料水やジュース製品なども数多く開発・販売している。社内ブランドと食い合わないのだろうか? 高木氏によると「フレーバーウオーターは他の領域からユーザーを奪っているわけではなく、新規層を開拓している。これまでペットボトル飲料を飲んでいなかったユーザーの、飲用者数や飲用回数が増えている」。
また、いろはすブランドの中でも、「『みかん』はちょっと元気になりたい時に」「『もも』はいやされたい時に」――と、飲む理由は分かれている。新商品を開発する際も、既存のフレーバーと重ならないように“パズル”を行っているという。
「カニバリゼーション(社内商品が競合関係になり、互いに売上を侵食してしまう現象)を最小化し、新しいエリアを作っていく。社内のポートフォリオ内でのバランスを取っています」(高木氏)
15年10月発売の「もも」は、累計2億1000万本の大ヒット。フルーツフレーバーウオータージャンルで1位の商品となった。そして28日に発売した梨フレーバーは、桃に勝るとも劣らない出来栄えだという。
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