支持率4% フランス大統領も不人気のワケ:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
フランスのオランド大統領の支持率がかなり低迷している。ル・モンド紙が行った調査によると、支持率は4%。1848年にフランスで初めて大統領が誕生して以降、史上最低の記録だというが、なぜここまで低迷しているのか。その理由は……。
なぜオランドの支持率は低いのか
なぜオランドはここまで支持率が低いのか。そもそも社会主義者のオランドは、富を再分配し、機能不全に陥っている公共サービスを再建するなど、派手な公約で大統領に当選した。だが経済の立て直しは進まず、10%ほどの失業率(若者では20%を超える)も改善しない。貧困層を救い、インフレを改善するとの主張も進んでいないし、たび重なるテロで一時的に支持率は上げても、テロ対策は評価されていない。
また、以前このコラムでも触れたが(関連記事)、社会党の大統領なのに、フランス南部の観光地であるカンヌに休暇のための別荘を3軒も所有していたり、毎月散髪に公費から1万1000ドルを支出していたりと、贅沢(ぜいたく)な生活を送っていることが明らかになっている。
さらに、オランドは女性問題でもメディアを賑(にぎ)わしている。彼は、フランスの環境・エネルギー・海洋大臣で気候に関する国際関係担当を務めるセゴレーヌ・ロワイヤルとの間に以前、結婚はしていなかったが4人の子どもをもうけている。その後2人はパートナーの関係を解消している。オランドは2012年の大統領就任時に、フランスのパリマッチ誌で記者だったバレリー・トリルベレールとパートナーになっていたが、大統領の職にありながら“不倫”(浮気?)の末に女優のジュリー・ガイエに乗り換えて大きな話題になった。
最近、米次期大統領に選ばれた資本主義の権化であるドナルド・トランプにも負けないくらい、女性関係が派手な社会主義者なのだ。
もちろん政治家として何もしていないわけではなく、評価すべき点もある。労働法の改正などはその例で、高い失業率の原因とされ、「巨大な迷宮」と揶揄(やゆ)されてきたフランスの労働規制を緩和するための労働法改正法案をリーダーシップをもって推し進めてきた。
そんなリーダーシップもそれ以外のマイナスポイントにかき消され、とにかく就任からこれまでずっと不人気だったと言える。ただそれでも、朴大統領級の大スキャンダルでもない限り、支持率が4%まで落ちることはそうないような気もするのだが……。
関連記事
- なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 夫の不貞に耐えたのに、ヒラリーの悲しき末路
2016年の米大統領選が終わった。1年半にわたって繰り広げられた大統領選は、大方の予想に反して、不動産王のドナルド・トランプが大統領に選ばれた。トンデモ大統領が誕生するわけだが、ひとつ気になることがある。それは敗北したヒラリー・クリントンと夫であるビル・クリントン元大統領との関係だ。 - 日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識”
過労死の問題が話題になっている。この問題に対して、海外メディアはどのように報じているのか。「労働時間」「残業」「休暇の取得」などは常識の範囲内で行っているつもりかもしれないが、外国人からは“非常識”に映っているようだ。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - 日本人が知らない医療大麻の「不都合な真実」
元女優の高樹沙耶容疑者が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。容疑者が医療大麻を推進していたこともあって、医療従事者などが「医療大麻ってものはない」「(医療大麻は)必要ない」などとコメントしていたが、本当にそうなのか。世界に目を向けると、ちょっと違うようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.