支持率4% フランス大統領も不人気のワケ:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
フランスのオランド大統領の支持率がかなり低迷している。ル・モンド紙が行った調査によると、支持率は4%。1848年にフランスで初めて大統領が誕生して以降、史上最低の記録だというが、なぜここまで低迷しているのか。その理由は……。
反グローバル化の潮流が来るかもしれない
オランドは今回出版された本について、自分の発言は誤って解釈されていると直ちに弁明したが、オランドの社会党は大変な混乱に陥っているようだ。このタイミングでの混乱は社会党にとって重大な意味をもつ。というのも、フランスでは2017年5月に大統領選挙を控えているからだ。しかも、こんな無茶苦茶なオランドは、性懲りもなく大統領選に再選を目指して出馬するとの見方も出ており、12月15日の予備選までに出馬を表明することなっているのである。
英国のEU(欧州連合)からの離脱に続き、米国では孤立主義を標榜するトランプが当選し、世界的に反グローバル化の波が来ていると言われる中、2017年のフランス大統領選で保守系の大統領が誕生するのではないかとの指摘もある。あまりにオランドが不人気だということと、移民問題で内向きになったフランス国民が「変化」を求めるとの分析があるのだ。そうなれば世界的に、本当に反グローバル化の大波が来るかもしれない。
頼りない現職のオランドのおかげで、フランスからそんな世界的な流れが後押しされる可能性がある。世界の流れを読むためにも、オランドの低支持率の行方を見守る必要がありそうだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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