ハンカチ王子にうんざり、やっぱりの理由:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/5 ページ)
プロ野球界の1年を振り返ると、やはり「二刀流・大谷」を避けて通ることはできない。「2018年にメジャー移籍か?」といった話で盛り上がっている一方、“スーパースターになりそこねた投手”の存在が気になる。言わずもがな、斎藤佑樹だ。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
人の運命というものは、どのタイミングでどう左右するのか本当に分からないものだ。それを想起させられるようなサプライズがつい先日、日本全土いや米国をも駆け巡った。
二刀流・大谷、2018年からメジャーへ――。そのトピックスは普段野球にそれほど興味がない人も思わず注視したに違いない。日本ハムの大谷翔平投手が球団側から来オフのメジャーリーグ移籍を突如として容認されたという衝撃のニュースだ。12月5日に札幌市内で行われた契約更改において大谷は2億7000万円(推定)で一発サイン。その場でポスティングシステムを利用してのメジャー移籍についても話題に上り、球団から大谷自身の意思を尊重する姿勢を示された。
会見で大谷本人は明言こそ避けたものの元々入団前からメジャーでのプレーを強く望んでいたことを考えれば、来オフに移籍を直訴する可能性は十分あるだろう。そうなると日本ハムからポスティングシステムを使ってメジャーリーグへ移籍する選手は2011年オフにテキサス・レンジャーズへ移籍したダルビッシュ有投手以来、大谷が2人目となる。
ただ、現在米国で行われているウインターミーティングの場で11月30日に合意したばかりの新労使協定の海外選手獲得規定についてMLB(メジャーリーグ機構)側が大谷にも適用されると通達したことは気がかりではある。この新協定は25歳未満の海外選手獲得に費やせる年俸を含めた契約金総額が最大575万ドル(約6億5600万円)に制限され、年俸も最低保障が8万8000ドル(約1000万円)のマイナー契約しか結べないという内容だ。
来年23歳の大谷は“激安契約”からのスタートを強いられても海を渡る決意をするのか、あるいは25歳になるまでメジャー行きを2年遅らせるのかに注目が集まる。だが大谷は「大金よりもロマン」を求めるタイプだけに、条件云々がメジャー移籍の障害にならないのではとの声があるのも事実だ(マイナー契約からスタートしても、入団後すぐにメジャー契約に切り替える「抜け道」もある)。
そしてメジャー行きを決意した場合、大谷は二刀流を貫けるのか。あるいはダルビッシュのようにメジャーでも成功できるのか。さまざまな観点で興味は尽きない。しかしながら大谷が日本ハムから巣立つことによってまたしても取り残され、後輩にも大きく差を付けられるハメになる“スーパースターになりそこねた投手”の存在はやはりどうしても気になってしまう。言わずもがな、斎藤佑樹だ。
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