ハンカチ王子にうんざり、やっぱりの理由:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/5 ページ)
プロ野球界の1年を振り返ると、やはり「二刀流・大谷」を避けて通ることはできない。「2018年にメジャー移籍か?」といった話で盛り上がっている一方、“スーパースターになりそこねた投手”の存在が気になる。言わずもがな、斎藤佑樹だ。
かつてはメジャーリーグ移籍も視野に
早稲田実業で高校3年生のとき、夏の甲子園に出場して当時駒澤苫小牧の田中将大(現在ニューヨーク・ヤンキース所属)との投げ合いを制し、ハンカチフィーバーを巻き起こしたのは2006年の8月のこと。その後は早稲田大学に進学し、野球部主将としてチームをけん引しながら輝かしい記録を打ち立てると2010年のドラフトで1位指名された日本ハムに鳴り物入りで入団した。
2011年のルーキーイヤーで6勝を挙げたものの、2年目の2012年シーズンで5月ごろからスランプに陥り、さらに同年オフに右肩を痛めて以降は泣かず飛ばず。低空飛行の続く日本ハムでのプロ生活の中で斎藤は先輩・ダルビッシュに続き、後輩・大谷が海を渡る姿をも目にすることになるわけだ。心中複雑であることは間違いない。
多くの人はすっかり忘れているかもしれないが、斎藤もかつてはメジャーリーグ移籍への強い願望を持っていた。2006年夏の甲子園が終了した直後の8月30日。斎藤は日米親善試合に参加するため全日本高校野球選抜チームの一員として米国に遠征していて、この日はヤンキースタジアムを見学に訪れていた。当時ヤンキースの主力だった松井秀喜氏と対面し、握手を交わすと興奮が抑えきれなくなったのか「いつか、このメジャーのマウンドに立ってみたい」という思いを取り囲んだメディアに対し、包み隠さすに打ち明けていたのだ。
このときは言葉に説得力があった。早実の絶対エースとしてチームを夏の甲子園で優勝に導き、一躍時の人となっていたからだ。だが斎藤とともに同じ全日本の選抜メンバーとして同行していた田中が松井氏と握手を交わした約7年半後にピンストライプのユニホームを着て、そのヤンキースタジアムのマウンドに立つことになるのだから運命とは皮肉なものである。一度投げ勝ったはずの“元ライバル”に斎藤は今や天と地ほどにかけ離れるぐらいのとんでもない差を付けられてしまった。
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