ローソンが「あきこちゃん」に期待するワケ:【総力特集】人とAIの共存で進化する「おもてなし」(1/2 ページ)
ローソンが半年前から提供しているチャットボット「ローソンクルー♪あきこちゃん」。どんな効果が出ているのか。その他、同社はAIをどのように活用しているのか。AIジャーナリストの湯川鶴章氏が、ローソンにおけるAIの活用状況について取材した。
近年、ビジネスの現場でAI(人工知能)を活用する動きが加速している。コンビニ大手のローソンは半年前からユーザーとのコミュニケーション(マーケティング)ツールとしてチャットボット「ローソンクルー♪あきこちゃん」(以下、あきこちゃん)をLINE上で展開。友達数は2000万を超え、一定のファンがつくなど好評で、売り上げにも良い影響が出てきているという。
同社の白石卓也執行役員と高木秀祐シニアマネジャーに、チャットボット活用による効果と、今後のAI活用について話を聞いた。
クーポンの利用率が向上
――チャットボットのあきこちゃんが好評のようですね。
高木: そうですね。最初の頃は「試しにあきこちゃんと対話してみよう」というアーリーアダプター(新商品・サービスなどを比較的早い段階で試す人)の方が多かったみたいですが、最近はひまつぶしの会話の相手として、一般の人へと利用が広がってきています。
白石: 予想以上の反応ですね。「流行っても、すぐに廃れる可能性があるかもしれないな」と思っていましたが、そんなことはなく、毎週利用している固定ユーザーもいます。
――売り上げにも貢献しているのでしょうか?
高木: クーポンに対する反応がとても良くなりました。これまでは、クーポンの利用率が数%台と低いときもあり、課題の1つとなっていました。具体的な数字は公表できませんが、あきこちゃんが配るクーポンの利用率は桁違いに良いんですよ。
――なるほど。具体的に、どのような対話の中でクーポンを配布するのですか?
白石: 例えば、「オススメは?」と聞くと、あきこちゃんがオススメ商品を紹介してくれます。それに対するユーザーの反応(「おいしそう」「好き」など)を見てクーポンを配布することで利用率がぐんと上がります。クーポンを手に入れたユーザーは早い段階で店舗に足を運び、商品を購入してくれますね。
――販促効果は確実に出ているのですね。あきこちゃんとの対話では1回につき何往復くらいのやりとりがあるのですか?
高木: 20〜40くらいでしょうか。
――結構多いですね。20〜40往復の対話をするユーザーは何人くらいいるのですか?
高木: 日によって異なりますが平日なら多い日で30万人以上です。
――30万人ですか! それはスゴいですね。その対話データはどのように活用していますか?
白石: まだ開始して半年なので、これから実践していく話ですが、膨大な数のユーザーニーズを収集することで商品開発に役立てることができます。また、ユーザーの好きなモノをあきこちゃんが学習していくので、必要なクーポンをより的確に配信できるようになっていくでしょう。もちろん、生ログを監視しているわけではありませんので、ユーザーの個人情報はしっかりと保護しています。
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