買い物はそんなに面倒なのか:Amazonの2つのサービス(1/2 ページ)
先日Amazonの2つのサービスが発表されました。1つは「Dash Button」で、もう1つが「Amazon Go」です。どちらも買い物の手間を究極的に省いたサービスです。このようなサービスが受け入れられるほど、買い物はそんなに面倒なのでしょうか?
著者プロフィール:野町直弘(のまち・なおひろ)
株式会社アジルアソシエイツ 代表取締役社長。
調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの代表をしております。自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。
先週アマゾンの2つの新サービスが発表されて話題になりました。1つは「Dash Button」で、もう1つは「Amazon Go」。サービスの内容や技術についてここで説明する必要はないでしょうが、どちらも今までにない画期的なものです。
Dash Buttonは、日用品の補充のためにワンプッシュで注文ができる、という仕組みです。常備品のインターネット通販の究極的なやり方かもしれません。確かに水や洗剤、(私の場合は)シリアルなどは毎日購入するものではありませんが、欠品すると不便なものです。まとめ買いもできますが。
運搬の手間や在庫スペースを考えると必要な時に必要な分だけ注文できるのはとても便利なもの。また、簡単に注文できる仕組みとして、ワンクリックならずワンプッシュというのも良く考えられたものです。
Amazon Goは、AI(人工知能)の技術と多くのセンサーやカメラを使ってお客さんがどの商品を何個ピックアップしたのかを認識し、登録されたクレジットカードから決済を行うことで、顧客がレジに並んだりお金を払ったりする手間を省きます。来春にも、コンビニ規模の試験店舗をシアトルに開店するとのことです。
買い物客の気持ちや動きをしっかりと理解したうえで、店舗やネットで商品を買ってもらうための適切な仕掛けを行うことを「ショッパー・マーケティング」といいますが、米国のショッパー・マーケティグの第一人者であるハーブ・ソレンセンという人が著書『Inside the Mind of the Shopper(日本語書:「買う」と決める瞬間)』の中でこうおっしゃっています。
「1回の買い物における最も一般的な購入品数は1品であった」「買い物客の半数の購入商品点数は5個以下であり、まとめ買いの買い物客は意外と少ない」「来店客が買い物にかける時間のおよそ80%は売り場から売り場での移動の時間である」
これは米国のあるスーパーでの検証によって得られた事実です。これらの事実から考えると、今回のAmazonの2つのサービスは顧客にとってとても価値があります。
これは店舗だけではありません。ネット上のカタログからの購買もカタログ検索をするのは意外と面倒です。特に、いつも購入している消耗品や日用品の在庫補充については、マイページにアクセスし、購入履歴やお気に入り機能を使って確認していましたがわりと面倒なもの。これに対し、ボタンをワンプッシュすれば自動的にモノが届くというのは、極めて便利なやり方です。
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