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「Pepper」は介護業界の人手不足を解消するのかスタッフの業務負担を軽減(1/2 ページ)

「Pepper」が介護現場で効果を発揮し始めている――。ロボットの活用が思うように進まない介護業界だが、「Pepper」はどのようなシーンで役立っているのだろうか。

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 深刻化する介護業界の人手不足――その課題を解決する手段として政府も力を入れているのが介護ロボットの活用だ。しかし現状では、価格面や機能面で現場とのニーズにギャップが生じ、思うように活用が進んでいないという課題もある。

 そうした中、あるロボットが介護現場で効果を発揮し始めている。人型ロボットの「Pepper」だ。

photo 介護現場で活躍する「Pepper」

徘徊を防止し、スタッフの業務負担

 都内にある特別養護老人ホーム「美郷」では、利用者の無断離設(徘徊、はいかい)によって生じるスタッフの業務負担が課題となっていた。手掛かりが少ない場合は捜索範囲が絞れないため、長時間捜索に時間を割くことになってしまう。何より、認知症患者の徘徊は交通事故などに巻き込まれる可能性が高いため、とても危険だ。

 そこで2016年、対策としてアプリ開発会社LYKAON(リカオン)が提供する徘徊防止システムを搭載したPepperを試験導入した。

 出入り口に設置することで、徘徊しようとした利用者をPepperがセンサーで検知。Pepperは顔認証機能で事前に登録した利用者の名前を呼び掛けると同時に、スマホアプリを通じてスタッフに通知し、警報も作動させる。

 Pepperの導入後、徘徊は一度も発生していないという。「認知症患者はPepperに自分の名前を呼ばれると相手に関心を示します。Pepperの呼び掛けによって出入り口で30〜60秒ほど足止めをすることができるので、その間にスタッフが駆けつけて保護することが可能になりました」(「美郷」の施設管理本部長)

 LYKAONの中根由尚部長(ITソリューション事業部)は「徘徊を防ぐためにスタッフが常に注視する必要がなくなるので日々の業務負担も軽くなる。労働環境が良くなることで介護業界の人材難を解決することにつながる」と説明している。

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