トランプのツイートは、やっぱり「危険」ね:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
ドナルド・トランプ米大統領のツイートが止まらない。大統領という立場を考えれば、気軽に発言してはいけないはずだが、トランプ氏は毎日のようにつぶやき続けている。このままでいいのか。いや、いいはずがない。なぜなら世界を危険に陥れるかもしれないからだ。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
ドナルド・トランプ米大統領が吠え続けている。
先日、安倍晋三首相との首脳会談を終えたトランプ大統領は、満足げに「2日間のとても生産的な協議」だったとツイートした。また、会談後にフロリダを去る際にも、もうひとつツイートで吠えた。
「フロリダを発つところだ。道路には一列に熱心な支持者の大群衆。フェイクニュースのメディアが取り上げるのを拒否している。なんて不誠実だ!」
とにかくトランプ氏のツイートは止まらない。もうすっかりおなじみになった感もあるが、米大統領が日常的に自らの考えを発信するなんていう状況は前代未聞の事態である。
大統領の発言にはとんでもない影響力があるので、コメントなどでは内容の正確さや法的な正当性などが求められる。気楽に言いたいことを好き勝手に発信してもいいというものではない。フォロワー数は2480万だが、それを拾うメディアなどを通して、さらにもっと多くの人にツイートは届いている。
ちなみにトランプ大統領は、安倍首相が訪問中に一度、彼のことを「シンゾー首相(Prime Minister Shinz★(oにマクロンを付した文字)」とツイートしていた。もちろんこれは間違いであるが、Googleの米国版で日本の首相を検索すると、一番上に「Shinz★ Abe」と表示される。米国では「oにマクロンを付した文字」はほとんど使われないので、おそらくGoogleからコピペしたのかもしれない。実際にトランプ氏がそんな感覚でツイートしていると考えると、末恐ろしい。
最近では、Twitterなどの出現により、米大統領といえども、その発言に重みや威厳がなくなってきているのかもしれない。そして今、米国だけでなく世界でも、国内政治や外交などのメッセージを発信するのにツイートを使うリーダーは少なくない。「ツイプロマシー(Twiplomacy=Twitter外交)」などとも呼ばれているが、実はあまりいい傾向とは言えない。
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