休日出勤は、日によって割増率が違う:マネーの達人(3/3 ページ)
割増賃金には、休日労働と深夜労働に対して支払われるものがあります。今回は、休日労働の割増賃金について解説します。
各休日の割増率
ここまで、「法定休日」と「法定外休日」の2種類を紹介しました。それでは、割増賃金率はどうなるのでしょうか。
(1)「法定休日」の割増率:35%以上
法定休日に働いた場合は労働基準法で定めている休日労働となり、休日労働の割増率となります。
(2) 「法定外休日」の割増率:25%以上
法定外休日に働いた場合は労働基準法の定める休日労働には該当せず、特に定めもないため、休日労働の割増率(35%以上)は適用されません。つまり、法定外休日に働いた時間については、原則として、通常に支払う賃金でよいことになります。
しかしながら、法定外休日には「時間外労働」の概念が適用されます。法定外休日の労働時間が、1日8時間、週40時間を超える場合は時間外労働となり、それに対する割増賃金となります。
以下の条件を例に考えてみましょう。
例):
月曜日から金曜日が所定労働日、土曜日が法定外休日、日曜日が法定休日。
1日の所定労働時間が、午前9時から午後6時(休憩1時間)の8時間労働の会社。
- 月曜日から金曜日まで40時間働き、土曜日に出勤し8時間働いた場合
土曜日は法定休日ではないので、「休日労働(割増率35%以上)」とはなりません。しかし、1週間の労働時間が40時間を超えているので時間外労働となり、「時間外労働(割増率25%以上)」となります。
- 月曜日から金曜日まで40時間働き、土曜日は休み、日曜日に出勤し8時間働いた場合
日曜日は法定休日であるため、「休日労働(割増率35%以上)」となります。
このように、割増賃金率は休日の種類によって異なります。しかし、会社が就業規則などで法定外休日にも休日労働と同等の割増賃金を規定し支払うことは問題ありません。(高橋豊)
著者プロフィール:
高橋豊
ゆたか社会保険労務士事務所 代表
大学卒業後、中堅企業にて労働関係法規や社会保険関係法規等に絡む業務、社内研修などの企画立案・実施、新卒採用などの人材採用・人事を経験。社会保険労務士事務所開業後は、企業に対して「人材がやめない企業づくり」をモットーに各種制度提案、就業規則等の作成、退職金制度設計、助成金申請などを行い、個人に対しては、遺族年金・障害年金等の複雑な年金請求のサポートを行っている。また、大学や短大でキャリア教育講座の講師を務めており、学生の就職活動支援なども行っている。
保有資格:社会保険労務士、宅地建物取引士、管理業務主任者
愛知県雇用労働相談センター 相談員
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