東京商工リサーチは3月8日、2016年に倒産した書店は前年比1.5倍の25件だったと発表した。「ネットメディア浸透やオンライン販売、電子書籍の普及などによって市場環境が大きく変化したため、出版不況が続いている」とみている。
倒産の原因は、「販売不振」が17件で最も多かった。また、他社倒産の影響を受けた書店も多く、取次中堅の太洋社が16年3月に破産を申請した際の書店の連鎖倒産は2件、休廃業は17件、閉鎖した店舗は19件に及んだ。
形態別では、「破産」が22件と全体の約9割を占めた一方、再建型の民事再生法を申請した例はなく、「いったん業績不振に陥った企業の経営立て直しは難しいことが浮き彫りになった」としている。
また、16年の書店の休廃業・解散件数は41件で、前年より3件増加していた。40件を上回るのは11年以降6年連続で、倒産を上回るペースで推移している。「家族経営の小規模事業者や、経営者が高齢化した事業者が、後継者難などで事業継続を断念するケースが目立つ」という。
調査結果について、東京商工リサーチは「書店が書籍を仕入れる際は、取次会社による『パターン配本』が一般的で、取次会社任せになっているケースが多い。そのため、品揃えで独自色を打ち出すことが難しく、画一的になりがちだ。書店は、専門化や異業態とのコラボなど、生き残り模索のための工夫を急ぐべきだ」と提言している。
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