「事業再開は白紙」DeNAの2時間会見:キュレーションメディア問題を受け(2/2 ページ)
DeNAは3月13日、キュレーションメディア事業についての記者会見を行った。守安功代表取締役社長、南場智子代表取締役会長、小林賢治執行役員が出席し、把握している問題点、今後の対応、関係者の処分、事業再開のめどなどについて語った。記者からの質問は相次ぎ、会見は2時間にわたった――。
事業再開「正直めどが立っていない」
現在非公開状態にある10のキュレーションメディア。「MERY」など根強い読者がいる媒体もあり、事業再開を求める声もある。南場会長は「この事業にはニーズがあると考えている。しかし、事業再開については白紙」と語る。
「キュレーションメディア事業を続けるかどうかは、正直めどが立っていない。どのように運営すれば認めていただけて問題を起こさないサービスにできるのか検討してきました。再開するなら、きちんとした編集・校閲・教育体制を作らなければいけない。しかし有識者に聞けば聞くほど奥の深いもので、経験のないわれわれが形だけ整えてできるようなものではない。収益的な柱として考えることはありえない。本来ならこの議論は、事業参入の時にするべきでした」(南場会長)
キュレーションメディア事業に代わる事業については、4月下旬〜5月上旬に公開する本決算までには方針を示すと守安社長は語る。
著作権侵害の被害者に対しては、どのような対応をしているのか。DeNAはWebサイト上に問い合わせ窓口を設置し、これまでに84人からの問い合わせがあり、個別に問い合わせ、相談を進めているという。
第三者委員会の報告書によると、著作権侵害の恐れがある記事は最大で約2万1000件。まだまだ潜在的な被害者は多い計算になるが、サイトが非公開になっているため、著作者だったとしても確認ができない。
「一次権利者の皆さまに能動的にアプローチするのは技術的に難しい。トップページに問い合わせ窓口を用意しているが、広告などを売って、もう少し認知を広げ、問い合わせを促進していく方向性を考えている。確認ができない件については、クローンサイトの制作なども検討しています」(守安社長)
薬機法違反については、東京都福祉保健局の薬務課に連絡して相談中。具体的な対応についてはまだ分からない状態にあるという。
「永久ベンチャー」の経営方針は変わるのか
報告書において「永久ベンチャーは免罪符ではない」とコメントを受けたDeNA。今後はどのように経営を進めていくのか。
「社員の声をもっと頻繁に聞いていきたい。問題意識を抱えているが、聞き取れていなかった。定点観測の形になるのか、区切りごとに聞いていくのか分からないが、継続的に続けていきたい。他の事業を担当する社員たちも傷ついていて、それぞれのケアをしなければならない。創業者なのでそれなりに役に立てる部分があるのではないかと考えています」(南場会長)
「12年にコンプガチャが大きな問題になり、ゲーム事業についてはコンプライアンス体制を強化していた。しかし、事業内容が増えるとともに、仕組みの面での『でこぼこ』が発生していました。iemoとペロリを買収したのは、スタートアップのスピード感や競争力をうまく取り込みたかったから。しかし、事業の管理やルール整備については、大企業の良さを生かしていくべきでした。ベンチャーと大企業、良いところを合わせ、両輪をしっかりしていきたい」(守安社長)
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