調査会社のMM総研は3月23日、国内のMVNO(仮想携帯電話事業者)の利用状況調査の結果を発表した。「格安スマホ」や「格安SIM」などの呼称が一般に広がった影響などにより、MVNOの認知率は83.8%と高かった一方で、利用率は14.9%にとどまり、携帯電話市場は依然としてキャリア優位の状況が続いていることがうかがえる。
MVNOを認知していながら利用していない人に理由を聞いたところ、最も多かった回答は「申し込みが面倒」で、16.3%。以下、「サポートに不安がある」(15.1%)、「通信品質に問題がある」(14.6%)、「キャリアのメールアドレスが使えなくなる」(12.2%)と続いた。同社は「MVNOは、大手キャリアと遜色(そんしょく)なく利用できる点をさらに訴求していく必要がある」と提言している。
また、MVNOユーザーにキャリアとMVNOの印象の違いを聞いたところ、「MVNOの方がよい」が大半を占め、「価格は高くてもキャリアの方がよかった」と回答したユーザーは5%未満にとどまった。
最もユーザーの満足度の高かったMVNOは「BIGLOBE SIM」で、72.6ポイント。次いで「mineo」(72.4ポイント)、「FREETEL」(71.5ポイント)だった。項目別では、「回線品質」では「IIJ mio」、「端末保証」と「セキュリティ」では「UQ mobile」の満足度が高かった。
現在、データ通信の料金体系は定額制が主流となっているが、FREETELなど一部の企業は使用した通信量に応じて料金が変動する従量課金制のプランを展開している。こうした従量課金制についてユーザーの感想を聞いたところ、「利用したい」が26.0%、「やや利用したい」が24.8%と、好意的な意見が過半数を占めていた。
今後の市場動向について、MM総研は「独自サービス型SIMの市場規模は2016年9月末現在で657.5万回線と拡大傾向にある。ユーザーのライフスタイルに応じた契約ができるなどのメリットが大きいため、今後はSIMフリースマホとともに幅広いユーザーに支持されていくだろう」とみている。
調査はインターネットユーザー3万9631人を対象に、Webアンケート形式で行った。
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