阪神の藤浪は、“未完の大器”で終わってしまうのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
4月4日、阪神・藤浪が投じた直球がヤクルト・畠山の左肩を直撃した。両軍ベンチから全員が飛び出し、ド派手な乱闘劇へと発展したわけだが、心配なのは藤浪である。「未来のエース」として期待されながら、このまま未完で終わってしまうのだろうか。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
虎党は怒りよりもフラストレーションのほうが大きかったのではないだろうか。4月4日に京セラドーム大阪で行われたヤクルトVS.阪神戦でのこと。この試合の5回無死一塁の場面で、マウンドの阪神・藤浪晋太郎投手が投じた142キロの直球が打席に立っていたヤクルト・畠山和洋内野手の左肩を直撃。これに畠山がぶち切れ、怒りをむき出しにすると両軍ベンチから全員が飛び出し、ド派手な乱闘劇へと発展した。
方々で小競り合いが起きたものの、最終的には最初に手を出したとされるウラディミール・バレンティン外野手(ヤクルト)と、これに飛び蹴りで応戦した矢野燿大作戦兼バッテリーコーチが退場処分となり、翌日に日本野球機構(NPB)から罰金処分と厳重注意が課せられた。
それにしても不可解だったのは試合当日の藤浪だ。畠山の左肩にぶち当てた死球が2人の退場を招く大乱闘の呼び水となったにもかかわらず、なぜか危険球と判断されずに退場にならなかった審判団の虎びいきとも取れるような大甘ジャッジも。それ以上に気になったのが、藤浪の大乱調ぶりである。5回112球を投げ、9四死球。5安打2失点に抑えたのが不思議なぐらい、とんでもないほどの大荒れだった。
直球のほとんどがすっぽ抜け、変化球も思ったところに決まらない。これでは野球になるわけがない。チームは1ー3で敗れ、敗戦投手となった藤浪について金本監督は「ストライクが入らないから、どうしようもない」とメディアに怒りを押し殺すように語った。当たり前だ。虎党の多くがネット上でもたまりにたまった不満をぶちまけるように、とにかく近年の藤浪はひど過ぎる。それを、この試合の登板において「やっぱり今年も何も変わっていない」と再認識したのではないだろうか。
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