なぜ浅田真央が好かれ、安藤美姫は嫌われたのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
女子フィギュア界の国民的ヒロイン・浅田真央選手が引退を表明した。多くのマスコミが大々的に報じ、その影響力の高さを改めて証明する形になったが、もうひとりの存在を忘れてはいけない。安藤美姫さんだ。
かつての安藤さんは「一時代を築いた人気者」
今でこそすっかり「嫌われ者」になってしまった感の強い安藤さんだが、かつては紛れもなく日本の女子フィギュア界を引っ張る実力者だった。実際、数々の世界大会で12個のメダル(金=6個、銀=2個、銅=4個)を獲得している。2006年のトリノ(15位)と、2010年のバンクーバー(5位)にも五輪代表として出場経験を持つ。
ジュニア時代を経て日本の女子フィギュア界で台頭した2004〜2005シーズンはGPシリーズなどでの活躍もあって安藤人気が爆発。2007年の世界選手権ではSP、フリーともに会心の演技を見せて金メダルに輝き、日本人選手としては4人目の女王になった。
ところがちょうどこのころにジュニア時代から「天才」と称されていた浅田選手がシニアの大会に出場するようになり、徐々に取って代わられるように主役の座を奪われていく。その安藤さんが引退を表明したのは2013年12月23日。全日本選手権で総合7位に終わり、ソチ五輪代表の座を逃したことで競技生活を終える決意を固めた。
輝かしい経歴があり、しかも安藤人気が沸騰していた時代は彼女が出場する大会の会場に入場制限がかけられることもしばしばあったほど。女子フィギュア界で浅田選手のように「国民的ヒロイン」とまではいかないまでも、かつての安藤さんが「一時代を築いた人気者」であったことは間違いない。
それならば今回の浅田選手のように安藤さんも女子フィギュア界の功労者として引退時には各メディアから、もっとスポットライトが当てられても良かったような気がしないでもない。だが現実は酷であった。当時、安藤さんの引退に関するニュースは各メディアで実にサラッとした形でしか報じられず、彼女の引退特番を流した放送局も皆無だった。
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