ヤマト運輸は4月13日、2017年度中に宅配便の運賃値上げと引き受け総量の抑制を実施すると正式発表した。値上げは27年ぶり。ネット通販の急拡大と人手不足などからドライバーの長時間労働が常態化しており、改善が急務となっていた。
運賃を値上げは、(1)社員への処遇充実と採用強化、(2)IT基盤やオープン型宅配便ロッカーの設置拡大、会員制サービス「クロネコメンバーズ」特典の拡充など、再配達削減に向けた投資――に充てるためと説明している。
値上げの内容は現在検討を進めており、決定次第発表するという。
ネット通販の急拡大で引き受け個数は増えた一方、低単価での依頼も急増。「現状の体制に見合った水準に、宅急便の総量や運賃をコントロールすることが不十分だった経営の責任」とし、今後は低単価の顧客や荷物数の多い顧客に対し、荷物量を抑制するよう交渉を進める。
配達時間帯の区分変更、再配達受け付けの締め切りを午後7時に繰り上げるなど既に発表した施策に加え、休憩中に着信した携帯電話は転送するといった社員の休息確保や、労務管理の改善なども進める。本支社や主要支店に「働き方改革委員会」を設け、現場からの改善提案にも積極的に対応するとしている。
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