「ヒゲ」ブームの裏で、関連ビジネスが面白いことに:来週話題になるハナシ(4/4 ページ)
海外でヒゲを伸ばす男性が増えてきている。その影響もあってか、欧州では2014年ころからカミソリの売り上げが減少していて、米国ではシェービング用品が苦戦している。なぜ「ヒゲ」を伸ばす男性が増えているのかというと……。
脱毛や植毛までしてヒゲを整える
脱毛とは逆に、ヒゲの植毛という裏技も話題になっている。
植毛といえば、頭部の薄毛に悩む男性に広く利用されているが、近年はヒゲの植毛が英国や米国などで人気だという。ちなみに、英国では毎年約5000人がヒゲの植毛を行っているそうだ。その数は、鼻の整形手術の3倍というから、それなりの人数になる。
ヒゲの植毛の手術方法は、毛が密集している後頭部から毛根を取り、顔に移植するものだ。気をつけなければならないのは、顔はデリケートで、多くの神経が通っているため、ヒゲの植毛には高度な技術が必要になるということだ。
手術にかかる時間は、およそ12時間。移植したヒゲは、すぐに成長し始め、2週間ほどすればシェービングすることも可能になる。比較的ダウンタイム(回復までの期間)が短くて済む美容整形と言われている。
ヒゲの植毛にかかる費用は、英国では平均で3000ポンド(約42万円)から7000ポンド(約98万円)。米国では、5000ドル(約55万円)から1万5000ドル(約167万円)ほど。もちろん、移植する毛根の本数などによって金額が変動する。
1996年に世界で初めてヒゲの植毛を行った第一人者のベッサム・ファージョ医師は英国マンチェスターにクリニックを持つ。ファージョ医師によれば、患者の年齢によって好みの傾向が違うという。
彼のクリニックを訪れる英国人男性に人気なのは、40代の患者だとブラッド・ピットのヒゲ。20代や30代の患者の間では、デビッド・ベッカムのヒゲがリクエストで多い。
脱毛や植毛までしてヒゲを整えるとは、男性の美意識が高まっているのは間違いないと言えそうだ。いま世界でアツいトレンドとなっているヒゲで、男らしい自分を表現してみてはいかがだろうか。
著者プロフィール:
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
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