ソフトバンクは「金の卵を産むガチョウ」 孫社長の自信:純利益初の1兆円超え(1/2 ページ)
ソフトバンクグループが2017年3月期の連結決算を発表。最終利益が初めて1兆円を突破した。記者会見では、孫正義社長が事業に対する自信と今後の展望を語った。
「ソフトバンクは“金の卵を産むガチョウ”だ」――。ソフトバンクグループが5月10日開いた2017年3月期決算発表会で、同社の孫正義社長はこう強調した。“金の卵”と呼ぶ各事業は軒並み好調で、連結最終利益は初めて1兆円を突破。1兆円超えはトヨタ自動車に次いで2社目だ。
利益増に特に貢献した事業は、長年にわたる業績不振から脱却した米携帯子会社のSprintと、光回線の契約者数を伸ばした国内通信事業だ。昨年9月に買収した半導体メーカーで英子会社のARMも一定の成果を残した。
スプリントのコスト削減に成功 国内通信事業も好調
ソフトバンクグループ全体の2017年3月期の売上高は、前年同期比0.2%増の8兆9010億円、営業利益が12.9%増の1兆260億円。最終利益は前期から3倍の1兆4744億円に達した。
Sprintの売上高は6.4%減の3兆6234億円だったが、セグメント利益が203.2%増の1864億円と大きく伸びた。近年低迷していたが、15年度に9年ぶりの営業黒字に転換。16年度はネットワーク関連費用を中心に、大幅なコスト削減に成功したことが営業益の拡大につながった。
国内通信事業は、売上高が1.6%増の3兆1938億円、セグメント利益が4.5%増の7196億円。光回線サービス「Softbank 光」の契約者数が前年比2倍超の359万契約と伸びたため、ブロードバンドサービスの売上高が51.9%増の919億円に上った影響が大きかった。携帯電話やタブレット向けの移動通信サービスの契約者数も、36万人増の3240万契約と堅調に推移した。
傘下にしたARMは、17%増となる177億個のチップを出荷。売上高は1129億円、セグメント利益は129億円だった。
好調な業績に対し、同社の孫正義社長は「ソフトバンクの時価総額は、負債を考慮に入れると9兆円、負債を差し引けば17兆円に達した。確かに当社は、資金の借り入れによって事業を拡大しているが、負債は“ガチョウのエサ”にすぎない」と自信を見せた。
ただ、純利益が1兆円を突破したことについては、「不思議と感動はなく、単なる通過点にすぎない。今後の事業をどう進めるかという考え方こそが大事」(孫社長)と気を引き締めた。
では、ソフトバンクグループは17年度以降、どのような戦略で事業を進めていくのだろうか。
関連記事
- 孫正義氏が掲げる「300年ビジョン」の意味
30年先の具体的なビジョンが、今すべきことの最短コースを選ばせてくれる。 - トランプ効果でソフトバンクが年初来高値更新
孫社長とトランプ氏の電撃会談を受け、ソフトバンク株価が上昇。 - ソフトバンクグループ、米投資企業を3752億円で買収
ソフトバンクグループが、米投資企業のFortress Investment Groupを3752億円で買収すると発表。投資のノウハウを新ファンドの運営に生かすという。 - ソフトバンクが「社内AI」で進める営業改革
ソフトバンクは、IBMのコグニティブ・システム「Watson」をベースにした社内AI「Softbank Brain」を開発し、社員のサポートに生かしている。Brainはどのような機能を持ち、社員の業務効率化にどう役立っているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.