厚生労働省は5月10日、違法な長時間労働や賃金の不払いなど、労働基準関係法違反の疑いで送検された国内企業のリストをホームページ上で公開した。昨年10月1日以降に各都道府県の労働局が公表した内容を集約したもので、掲載企業数は現時点で332社。
リストには、社員に違法な時間外労働を課していた電通、富山県内の工場の従業員が過労死していたパナソニック、荷積み作業中の男性の負傷事故を労働局に報告しなかった日本郵便など大手企業も含まれる。
このほか、安全対策を講じないまま従業員を危険箇所で作業させた建築会社や、無資格者にクレーンを使用したつり上げ作業を任せた造船会社などが掲載されていた。
企業名がリストに掲載されるのは、各都道府県の労働局による公表から1年間。ただ、厚労省が掲載の必要性がなくなったと判断した場合や、労働環境の是正や改善が確認された場合は、1年以内であってもリストから削除するという。
厚労省は「昨年末から実施している、社会全体で過労死ゼロを目指す取り組みの一環。企業の順法意識を高め、長時間労働を削減する機運を高めていきたい」(監督課)と目的を説明している。
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