就活生のための「職場の雰囲気」とは何か:気にする必要なし?(1/2 ページ)
忖度(そんたく)が流行っているみたいなので、職場の雰囲気について考えてみます。就職や転職で新たな環境に進もうというとき、そもそも自分に合うのか、職場の雰囲気を重視する人は多くいます。特に社会人経験のない学生はそれを重視する傾向が強いのですが、どう捉えるべきでしょう。
著者プロフィール:
増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
職場選びで雰囲気を重視するという学生の声は多くあります。就職情報会社大手、ディスコの「キャリタス就活 2018 学生モニター調査結果」でも、就職先選びのベスト5にほぼ毎年「職場の雰囲気」は入っています。そりゃ、雰囲気の悪い会社にわざわざ入りたい人はいないと思いますが、それでも「職場の雰囲気」って何なんでしょう?
少なくともオフィスレイアウトのことではなさそうです。やはり人間関係とか、今流行の残業しない具合とか、あるいは上司の評価ぶり、同僚との関係性など考えられます。しかしそうだとしたら、それって雰囲気なんでしょうか? 「人間関係」とか「評価体制」などの方がもっと明確にならないでしょうか。
正規・非正規の格差拡大と固定化が進んでいることで、ごく一部の大企業などを除き職場のギスギスぶりも進んでいるように感じます。キャリアカウンセリングで当方を訪れる方も、正規雇用でそこそこ恵まれた労働条件にみえても、ギスギスぶりに耐えられず辞めたいという相談はいくらでもあります。
職場の雰囲気は、何よって作られる?
最近は日系企業も外資系企業も事業部制や、コスト/プロフィットセンターで組織を作ることが増え、結果として部課やビジネスユニットが違えば別会社といわれるほど関係性が薄かったり、断絶していることも増えました。すなわち会社という色ではなく、職場が独立した雰囲気を持っていることが多いのです。
会社であれ、部課であれ、そうした雰囲気はどうやって作られるかといえば、当然その管理者の影響が最も大きくなります。会社なら社長、部課なら部長課長などのマネジャー職の人間性が大きく反映するでしょう。日系企業に外資出身マネジャーが、当然その逆もあって、ますます雰囲気は人間関係との結び付きが強いように見えます。
一般的に管理者はその職場限定のトップであり、人事権も持っています。自分が経営(営業)責任を負う以上、自分の意にそぐわない人間は置きたくないもの。結果として自分の言うことを聞く人間を高評価したり、昇進させたりという淘汰(とうた)によって、その職場は管理者色に染まっていきます。こうして雰囲気が醸成されることになります。
農薬に耐性のできた害虫が生き残って生態系が変わってしまうみたいなものでしょうか? ブラック企業のように会社をあげて社員を搾取する組織もあるでしょうがその方が例外的と考えて良いのではないでしょうか。つまり雰囲気を見たい、知りたいのであれば、その組織の管理者を知れば、かなり想定が可能ということになります。では会社に入る前の学生や転職する前の他社従業員はそれを見れるのでしょうか。
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