帝国データバンクによると、詩人・中原中也ゆかりの温泉宿「湯田温泉 西村屋」(山口県山口市)が6月1日、山口地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約3億2000万円。
1906年(明治39年)に創業し、52年に法人改変した老舗旅館。自家源泉を利用した源泉かけ流しの温泉が人気だった。33年(昭和8年)には、詩集「在りし日の歌」などで知られる中原中也が同旅館の「葵の間」で結婚式・披露宴を行うなど、文化人にも愛された。
料亭として営業していた時期もあり、料理にも定評があった。中原中也が好んだとされる料理を取りそろえた「中也ゆかり膳」が人気メニューだったという。
しかし、近年は観光客数の減少で年間売上高が2億円前後に低下。てこ入れとして2006年に約4億円を投資し、賃貸アパートの運営を手掛けるなど事業領域を拡大したが、計画通りの収益を確保できず、借入金負担で資金繰りが苦しくなっていたという。
旅館の運営は別会社が引き継ぐ。9月1日に再オープン予定で、現在は改装工事を行っているという。
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