物件数でAirbnb超え目指す 楽天とLIFULLが民泊参入:40万〜80万室を提供へ
LIFULLと楽天が、ジョイントベンチャー「楽天 LIFULL STAY」を設立し、国内での民泊事業に参入すると発表。両社の豊富な物件データと顧客基盤を生かし、国内では民泊サービス大手の米Airbnbを上回る物件数の提供を目指すという。
楽天と、不動産情報サイトなどを運営するLIFULL(ネクストから社名変更)は6月22日、共同出資の新会社「楽天 LIFULL STAY」を設立し、国内で民泊事業に参入すると発表した。新会社は今後、宿泊施設の提供者(オーナー)と利用者(ゲスト)をマッチングする仲介サービス「Vacation Stay(仮称)」の実用化を進め、住宅宿泊事業法の施行が予想される2018年1月をめどにスタートする計画だ。
インターネット通販(EC)の「楽天市場」など、多岐にわたるWebサービスを運営し、9000万人以上の会員を有する楽天と、不動産賃貸サービス「LIFULL HOME'S」を手掛け、約800万件のデータを保持するLIFULLが手を組むことで、顧客基盤・物件の豊富さ・ノウハウを民泊ビジネスに生かす狙いがある。
最大の競合とされる米Airbnbが日本国内向けに提供する民泊用の物件数は約5万室。これに対し、Vacation Stayでは数年後までに約40万〜80万室を提供していく予定だ。
国内旅行者が主なターゲットだが、訪日外国人の利用も見込む。今後、外部のパートナー企業と協力し、海外向けのPR活動やサービス開発も行っていくという。
サービス開始までの期間中、新会社はLIFULL HOME'Sに物件を登録しているオーナー向けに宿泊施設の提供を募っていく。また、地方自治体などと協力し、民泊サービスで利用する空き家の確保も進める。
楽天 LIFULL STAYの太田宗克社長は、「現代の日本では、少子高齢化に伴う人口減によって地方や都市部で空き家が増加し、社会問題化している。当社では空き家を魅力的なコンテンツに変えて地方に旅行者を集め、地方の問題を解決したい」と意気込む。
「旅行者が集まると農業や漁業も活性化するため、新たな雇用の創出にもつながると考えている」(同)という。
一定数の空き家を確保した場合、LIFULL子会社で不動産特化型クラウドファンディングを手掛けるJGマーケティング経由で資金を募り、リノベーションを実施する案も検討中という。
住宅宿泊事業法が制定された場合、民泊事業者の営業日数の上限を年間180日に限定する“民泊180日規制”が導入されることが予想されるが、太田社長は「法令は順守し、住宅の貸し出し日数が年間の半分を超えないよう留意する」と話す。「ただ、今後、訪日客が増加した場合は、規制が緩和されることも期待している」という。
「単にプラットフォームを提供するだけでなく、各種サービスを充実させつつ、オーナーの獲得にも取り組むのが当社の特徴。まずはスタート時までに数万件の物件をそろえられるよう、今後努力していきたい」(太田社長)
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