サッポロビールの「愛のスコールホワイトサワー」、予想以上に売れている:あの会社のこの商品(4/4 ページ)
サッポロビールの新ブランド「愛のスコールホワイトサワー」が、予想以上に売れている。多くのRTDブランドは全国販売しているのに、新ブランド「愛の〜」は西日本限定で投入。なぜ同社は、このような取り組みをしたのか。担当者に聞いてみると……。
メインユーザーは意外にも30〜40代男性
では、誰が中心になって購入しているのだろうか? 乳性フレーバーでアルコール度数も低めなので、若い女性が中心だと思いたくなるが、メインユーザーは30〜40代の男性だという。野村さんも、「スコール自体は男性のほうが多い、という話は聞いていたものの、これはお酒ですから、若い女性が多いと予想していました。しかし、他の乳性RTDと比較すると、男性の比率が高いです」と驚きを隠さない。その理由は現在のところ、子どものころにスコールに親しんできた世代が、そのままスライドしてきた、というのが有力だ。
もう1つの有力な見方が、飲み口のよさだという。乳性フレーバーの場合、甘さが口の中に残りやすいが、愛のスコールホワイトサワーは甘いものの、口の中に甘さがいつまでも残ることがなく、この点が評価されていると考えている。
また、西日本での好調を受け、東日本での販売を望む声が強いという。この声を受ける形で、サッポロビールは6月28日、愛のスコールホワイトサワーを9月5日から全国発売すると発表した。西日本出身の東日本在住者も、これで懐かしの味が堪能できるというわけだ。
最終的には、エリア限定販売から全国販売へと至ったが、RTDの新ブランドを一時的とはいえエリア限定で販売した例は、ほとんど聞いたことがない。今回の成功により、RTDの新ブランドをエリア限定で投入する動きに、他社も追随する可能性がある。そういう意味では、サッポロビールの試みは先駆的だといえる。
著者プロフィール:
大澤裕司(おおさわ・ゆうじ)
フリーランスライター。1969年生まれ。月刊誌の編集などを経て、2005年に独立してフリーに。工場にまつわること全般、商品開発、技術開発、IT(主に基幹系システム、製造業向けITツール)、中小企業、などをテーマに、雑誌やWebサイトなどで執筆活動を行なっている。著書に『これがドクソー企業だ』(発明推進協会)がある。
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