JR東、次世代新幹線の試験車「E956 ALFA-X」開発へ:19年完成
JR東日本が次世代新幹線の開発に向けた試験車両「E956」を開発すると発表した。安全性・安定性、快適性、環境性、メンテナンス性を強化する。
JR東日本は7月4日、次世代新幹線の開発に向けた試験車「E956」を2019年春の完成を目指して新造すると発表した。10両編成で、営業運転時の最高速度は時速360キロ程度を予定している。
試験車両の愛称は“最先端の実験を行うための先進的な試験室”を意味する「ALFA-X」で、次世代新幹線の実用化に向けた開発プラットフォームとして活用。(1)安全性・安定性、(2)快適性、(3)環境性、(4)メンテナンス性――の強化がコンセプトだ。
高い安全性・安定性を実現するため、地震や悪天候など自然災害への対応力を改善。地震動を受けた際に強い減衰力を発揮し、車両の揺れを抑える「地震対策ダンパ」や、地震発生時に車輪とレール間の衝撃を緩和する「クラッシャブルストッパ」などの新たな部品を採用し、車体の安全性を向上する。
快適性を高めるため、車体の揺れを抑える「動揺防止制御装置」「上下制振装置」などを搭載。「家やオフィスのように快適な車内空間を目指す」としている。
環境性能の向上に当たっては、トンネル突入時の圧力波を抑制する形状の先頭車両や、空力騒音を低減する新型パンタグラフを開発。より騒音を抑えた“省エネ運転”の推進に取り組むという。
メンテナンス性を向上するため、IoT(モノのインターネット)の技術を活用し、地上設備や車両の各機器をモニタリングする仕組みを導入する。外部のサーバに車両の状態に関するデータを集約し、メンテナンス基地が故障の予兆を把握。本部社員や現地社員に指示を出し、速やかに修理することで、故障を未然に防ぐ仕組みだ。
このほか、AI(人工知能)などのテクノロジーも活用し、車両内の情報・制御ネットワークを強化するとしている。
関連記事
- JR東海、次世代新幹線「N700S」デザイン決定
JR東海は、2020年度の営業投入を計画する次世代新幹線「N700S」のデザインを決定した。 - 東海道新幹線の新型車両「N700S」はリニア時代の布石
JR東海が東海道新幹線向けに新型電車「N700S」を発表した。最高速度は変わらず、最新技術は省エネルギーと安全性と乗り心地に振り向けられた。さらにN700Sには新たな使命として「標準化車両」というキーワードを与えられている。高品質な車両を国内外問わず提供するという。しかし本音は「東海道新幹線の変化に対応し、その価値を維持する」ではないか。 - 東海道新幹線にN700Aを追加投入 19年度末に置き換え完了へ
JR東海は、東海道新幹線に「N700A」20編成を来年度から追加投入する。19年度末には700系の置き換えが完了。 - JR東海、ハイブリッド式特急車両を導入へ
JR東海は、同社初となるハイブリッド方式を採用する次期特急車両(試験走行車)を導入する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.