今オフ、大谷翔平はメジャーに移籍できるのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
ケガで苦しんでいた日ハムの大谷翔平投手が、戦列復帰した。二刀流の復活も近そうだが、気になることがある。それは、今オフのメジャー移籍が実現するかどうかだ。関係者に話を聞いたところ……。
日本ハム側が直面する難題
2つめの問題は、送り出す日本ハム側が直面する難題だ。海外FA権取得前の大谷が今オフ、メジャーへ移籍するためにはポスティングシステムを使うしかない。だが、13年12月に発効された現行の同システムは17年10月31日をもって失効する。
本来ならば現行の同システムは1年ごとに内容の見直しを図ると取り決められていたものの、16年5月に1年間の延長が決められていた。しかしながらすでに同システムについてメジャーリーグ機構(MLB)から改正へ向けた協議の申し入れがあったことが先日行われた実行委員会の場で日本野球機構(NPB)によって明らかにされ、早くも周囲では交渉の難航が懸念され始めている。
現行の同システムでは移籍対象選手を獲得するためにメジャーの球団が支払う譲渡金の上限は2000万ドルと定められているが、選手獲得費用の高騰を何としてでも防ぎたいMLB側は協議の席上でさらなる減額を求めてくることは必至。そうなればNPB、そして取り分の減るセ・パ両リーグの12球団が猛反発することは無論、新しい形態の同システム施行によって海外FA権取得前のメジャー移籍が選手にとって足かせになると判断すれば選手会もクレームをつける流れは想像がつく。
日本ハム側も貴重な戦力の大谷を出血覚悟で放出するのだから、それなりの対価を得る権利がある。それならば減額によって新ポスティングシステムの譲渡額が以前と比較してとんでもない激安価格となってしまったら、いくら大谷が「行きたい」と言っても、さすがにすんなりとOKは出しにくくなってしまうのではないか。
何より、その日本ハム側を含めてNPB所属の各球団がMLB側の譲渡金減額要求を突っぱね続けて新ポスティングシステムの交渉がなかなかまとまらずに長期化してしまったら、大谷の今オフのメジャー移籍自体が時間切れによって消滅してしまうこともあり得ない話ではない。
一方でMLBは16年12月、海外選手との総契約金を最大575万ドルに規定し、適用年齢をこれまでの23歳未満から25歳未満に引き上げている。移籍資金などの高騰を抑制する狙いで行った新規定により、17年23歳を迎えた大谷は来年からメジャーでプレーする場合、1年目は当初予想されていた超大型契約よりも大幅に抑えられた年俸しか手にできないことになった。
ただし、これは入団に際しての規定で1年目のみ適用される内容であることから、2年目以降に超大型契約を用意するなど事実上の“抜け道”も駆使できそうな見込み。新規定の適用が決まった当初は「大谷が今オフの移籍を決意してもマイナー契約の待遇しか得られない」との見方もあったが、どうやらその心配はそこまでしなくてもよさそうだ。
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