課長がもっと輝けば、日本経済はもっと良くなる:若手のロールモデルに(1/2 ページ)
日本生産性本部が昨年秋に実施した調査によると、新入社員のうち約半数が「管理職になりたくない」と回答。筆者が問題視したのはその理由だ。
多くの新入社員が管理職になることに消極的な姿勢をみせている。
公益財団法人日本生産性本部が昨年秋に実施した新入社員を対象にした調査1(有効回答数:264)によれば、新入社員のうち「管理職になりたくない」と回答した割合は47.3%とほぼ半分に達している。
「なりたくない」とする割合を男女別に見ると、女性では65.2%と約3分の2に達するほか、男性でも36.8%と4 割近くを占めている。この設問は2014年秋が初回であるため長期のトレンドは分からないが、14年秋の状況(「なりたくない」の割合は48.0%)と比べてほとんど変化はみられない。
現在は生き方や働き方に対する価値観が多様化しており、筆者も必ずしも皆が管理職を目指す必要はないと考えるが、彼らが「管理職になりたくない」と考える理由が問題だ。
同調査では理由を5択(最も近いものを選択)で聞いているが、「専門性の高い仕事がしたい」、つまり、「管理職ではなく専門職をめざしたいから」という前向きな回答割合は16%に過ぎない一方で、「自分の自由な時間を持ちたい(45.5%)」、「責任の重い仕事は避けたい(18.8%)」、「組織に縛られたくない(16.1%)」という管理職に対して否定的な回答が大半を占めている。
新入社員にとって最も身近な管理職といえば課長層だと推測される。新入社員から見た場合、課長は「忙しくて自分の自由な時間があまり持てない」うえ「責任が重い」、「組織に縛られた」存在であり、「努力して競争に勝ち抜いてまでなりたいポジションではない」と映っている可能性が高い(もちろん、世の中にはこれに該当しない課長も多いと思われるが)。
実際、近年の課長を取り巻く環境は厳しさを増しているように感じる。業務量が従来よりも増大しているとみられるためだ。いつのころからか、課長に求められる役割は、管理業務のみに携わる単なるマネジャーではなく、マネジャーでありながら自らも現場で実務を兼務するプレイングマネジャーであることが一般的となっている。また、社会の要請に伴って、情報管理やコンプライアンスなどの管理業務が増大し、最近では働き方改革の名の下、労務管理の負荷も増していると考えられる。
中には、部下を早帰りさせるために、自分が残業を一手に請け負わざるを得なくなっている課長もいるのではなかろうか。学校法人産業能率大学が15年11月に上場企業の課長に対して実施したアンケート調査2では、全体の56.4%が「3年前と比べて業務量が増加した」と答えている。
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