トヨタ、利益予想を上方修正 北米の収益回復が課題:円安が寄与
トヨタ自動車は、2018年3月期の連結営業利益を上方修正。想定為替レートを円安に見直したほか、原価改善活動の成果などを織り込んだ。収益で苦戦する北米は、新型「カムリ」で回復を狙う。
トヨタ自動車は8月4日、2018年3月期の連結営業利益が前期比7.2%減の1兆8500億円となる見通しを発表した。想定為替レートを円安に見直したほか、原価改善活動の成果などを織り込み、従来予想から2500億円上方修正した。引き続き収益改善を実施し、減益幅の縮小を図る。収益で苦戦する北米は、主力セダンの新型「カムリ」投入で回復を狙う。
売上高は過去最高予想に
18年3月期の連結業績予想は、売上高が3.3%増の28兆5000億円、純利益は4.4%減の1兆7500億円。それぞれ従来予想を上方修正。売上高は減収予想から増収予想に転じ、過去最高となる見通し。想定為替レートは従来予想から5円円安の1ドル=110円に設定した。グループ総販売台数は前期から横ばいの1025万台。販売台数全体の数字は据え置いたが、地域別では日本と欧州の台数を上方に、北米とアジアの台数を下方にそれぞれ修正した。
17年4〜6月期の連結業績は、売上高が前年同期比7.0%増の7兆476億円、営業利益が10.6%減の5742億円、純利益が11.0%増の6130億円だった。日本や北米、欧州で販売台数が増加したものの、北米におけるインセンティブ(販売奨励金)の増加やアジアの為替変動などが響いた。
グループ総販売台数は2.4%増の259万台。日本は小型車「ルーミー」「タンク」やスポーツタイプ多目的車(SUV)「C-HR」といった新型車が好調で、販売台数を伸ばした。欧州もC-HRが好調。販売台数の増加により、営業利益を大幅に改善した。
一方、北米は販売台数が微増だったものの、営業利益が半減。減益要因の大半がインセンティブなど販売諸費用の増加だった。アジアは、中国の販売は好調だが、タイやインドネシアを中心に販売台数が減少。現地通貨の為替変動により、コストもかさんだ。
新型カムリで北米の収益改善へ
営業利益予想を上方修正したことについて、会見した大竹哲也専務役員は「為替などの影響を除くと、原価改善や営業面の努力で300億円の上方修正となる。しかし、まだ前期より2700億円マイナス。挽回するために、引き続き収益改善策に取り組みたい」と語った。自動運転や人工知能(AI)などの重点分野の研究開発に経営資源を投入しながら、競争力強化に取り組む。
収益が悪化した北米については、発売を控える新型カムリで回復を狙う。セダン系の乗用車の販売で特に上昇しているインセンティブについても、「新型カムリへの切り替えで削減できるのではないか」(大竹専務役員)と見る。新型車投入効果を織り込みながら、「適切にコントロールしていく」(同)方針だ。
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