厚生労働省は8月9日、2016年に外国人技能実習生を受け入れた企業を視察した結果を発表した。視察した5672社のうち70.6%に当たる4004社で労働基準関係法令違反があり、中には実習生に違法な時間外労働を課す企業や給与を支払わない企業など悪質なケースもあったという。
外国人技能実習生制度は、母国の経済発展を担う人材の育成を目的に、日本企業での実習を提供する制度。ただ、受け入れ先の企業で労使協定を上回る残業、健康障害の防止措置の未実施など、労働基準関係法令に違反するケースが指摘されている。
厚労省の視察結果によると、16年に受け入れ先の企業が違反していた点は労働時間が1348社(23.8%)でトップ。次いで安全基準(1097社・19.3%)、割増賃金の支払い(771社、13.6%)、衛生基準(531社・9.4%)――と続いた。
労働時間では、実習生に最長約130時間の違法な時間外労働を課していた企業があったという。安全基準では、使用時にケガをする恐れがある機械にカバーを設けるなどの安全措置を行っていなかった企業があった。割増賃金では、実習生の時間外労働時や休日労働時に時間単価300〜450円と低水準の給与しか支払っていなかったケースもあった。
また、実習生が労働基準監督機関に労働環境の是正を求めるケースも88件発生。申告内容の内訳は「賃金・割増賃金の不払い」が83件(94%)と大半を占めた。約2年間にわたり技能実習生5人に計約1200万円超の賃金を支払っていなかった企業もあったという。
厚労省は「度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど悪質な事案に対しては、送検を行うなど厳正に対応していく」としている。
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