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マクロミルをつくった“妄想家”の軌跡夏目幸明の「経営者伝」(2/3 ページ)

自ら事業を立ち上げ、会社を成長させていく起業家たち。彼らはどのように困難を乗り越え、成功を手にしたのか。経済ジャーナリストの夏目幸明氏がその軌跡を追いかける。第1回はマクロミルの創業者、杉本哲哉氏の創業エピソードをお伝えする。

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妄想が現実に

 「『ハイライトビル』というマンションに小さな事務所を構え、営業に行ったり、雑誌広告を掲載したりしました。でも、待てど暮らせど注文の電話は鳴りません。やっと古巣のリクルートから1〜2件ほど受注できたと思ったら、今度はサーバがダウン。なかなか前に進みませんでした。当時は役員の給料も月5万円でしたね」

 そうした中でも、確かな夢の尻尾を捕まえた。とある個人から約20万円分の調査案件が入ったのだ。

 いくらネットリサーチが安価といえど、20万円も掛かる調査をなぜ個人が依頼したのか。杉本氏は本気かどうか半信半疑になり、本人に会ってみた。

 「その人は、脱サラをしておむすび屋を開きたいとのことでした。調査の内容は立地のチェック、おむすびの具には何が望まれているのか、適正価格はいくらか、といったもの。私が考えていたのは、まさにこんな顧客だったんです」

 杉本氏は単にリサーチを安くしてリサーチ業界のパイを食い合おうと思っていなかった。市場調査の垣根が低くなることで、小規模事業者、あるいは個人でもマーケティングができる時代が来ると「妄想」をしていたのだ。

 そして、次第に「ネットリサーチは安価で速い」と知られるようになると、次第にマクロミルは爆発的な成長を続けるようになった。

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