ロート「スライム目薬」 “かいしんの一滴”の舞台裏:想定以上の反響で増産(3/3 ページ)
想定以上の反響でたちまち品薄状態になり、急きょ増産が決定したロート製薬の「スライム目薬」。スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト」とのコラボ商品だ。こだわりぬいた商品はどのように生まれたのか? 舞台裏に迫った。
想定以上の売れ行き、品薄、そして増産
――スライム目薬の発売は17年5月27日です。多くの店舗で大々的に展開されましたね。
そうですね。営業メンバーが頑張ってくれたのはもちろんですが、ドラッグストアなど店舗側も「目薬の売り場で新しいことを提案できる」と乗り気になってくれました。商品を新しいお客さんに使ってもらいたいというのは、こちらの課題であると同時に小売店の課題でもあります。ファンが思わず足を止めてしまうようなわくわくする売り場を作り上げてくれたと思っています。
――売れ行きはどうでしたか。
想定を大きく上回りました。1カ月半〜2カ月の期間で計画していた目標販売数の3分の2が発売から1週間で売れました。意外だったのは、普段ロートジーのメイン購入者層ではない若い女性に「かわいい!」と手に取っていただけたことですね。自社調査によると、スライム目薬を購入したうちの2割は「今まで目薬を使ったことがない」方。当初の目的であった「若い人に目薬を使ってもらう」ことは、目標以上に達成できました。また、普段はロート製薬の商品を紹介しないような若い人向けやIT系のメディアで取り上げてもらったのも、狙っていたわけではないプラス効果でした。
その一方で品薄状態になってしまい、サポートセンターなどへの問い合わせが多く寄せられました。スライム目薬を求める声にどれだけ応えることができるか社内調整を進め、SQEXさんのご理解もいただけたことから、6月いっぱいで増産決定に至りました。
――期間限定発売の目薬を1カ月半で増産するのは、なかなか例のないことなのでは。
そうだと思います。ロート製薬は他にもさまざまな目薬を展開しているので、全力を尽くしても増産できる分は限られます。できるかぎり早いタイミングで、どれだけ作れるかの調整を大急ぎで行いました。増産する「ロートジーb」と「ロートジーコンタクトa」は8月17日に店頭に並ぶ予定ですが、見つけたらぜひあなたの仲間に加えていただければと思います。
――想定以上の好評で迎えられたスライム目薬ですが、印象に残っている反応を教えてください。
TwitterやInstagramなど、SNSでの投稿が非常に多かったことは驚きでした。目薬を扱っていて、SNSがこんなに盛り上がることはほとんどありません。デスクの上やポーチの中など、お客さんの生活の中に入りこめているような写真が多く、使っている人の“相棒”的存在になれたと感じました。キャラクターのフィギュアに持たせるなどの楽しみ方をしてくださっている方もいました。
「キャッチコピーの通り、さしてみたら本当にかいしんの一滴(一撃)だった!」というさし心地についての反響をもらえたのも非常によかったです。ストーリーやコンセプトを商品を通じてきちんと伝えられることができたとほっとしました。
――今後の展開の予定はあるでしょうか。
さまざまな要望があることは把握しています。ただ、現時点では増産以外のことは何も予定していないですね。例えば色違いなどのアイデアは社内でも出ましたが、ファンの驚きがなくなってしまいますし、キャラクターが摩耗してしまうかなと。我々やSQEXさんが重視しているのは、「ファンの人たちにとって喜んでいただける、新しい驚きがあるか」。「スライム目薬」を超えるアイデアや機会があれば、新たな商品をまた生み出すことができるかもしれません。
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